「ホンダが日産を買収」説があり得なくはない理由、ゴーン氏は「ホンダの“偽装買収”に発展」と指摘
ゴーンの日産に対する“恨み”を差し引いても、あながちあり得ないとは断言できない状況だ。世界販売で見ると、いまやホンダは407万台に対し、日産は344万台、三菱自は81万台だ。日産の業績不振が再燃した現況を見ると、この提携がホンダ優位となることは確かだ。 もっとも、ホンダの中間決算も、米国販売が好調な一方で中国事業は苦戦し、四輪事業の営業利益率は3.6%に減少した。二輪事業の営業利益率は10%以上と、相変わらず二輪事業の好調に支えられており、さほど余裕があるわけではないのも事実だ。 ともあれ、内田社長としては、本来であれば「仕上げ」である今期に、再び赤字に陥れば悪夢だろう。 もともと筆者は、内田社長が就任してから12月で5年を経過することから、そろそろ社長交代の時期に来ているとみていた。今年6月の株主総会でも、株主サイドから「後継に若手抜てきを」という要望も出ていた。 しかし、今期の業績ダウンと大リストラ策は、内田社長の「花道を飾って後進に席を譲る」どころか、その経営責任は報酬減額だけでは済まず、“解任”の道もあり得る状況だと考えている。 さらに言えば、内田社長だけでなく、副社長陣やエグゼクティブコミッティーの経営陣も、マーケティングと技術・商品力の「後手に回っている」責任を取って経営一新を求められることにもなろう。 日本国内市場のシェアでは相変わらず5位にとどまり、もうけ頭だった米中で稼げない体質となっている。特に米国での収益不振が痛手であり、トランプ次期米大統領によるメキシコからの高関税政策が現実に実施されると、日系メーカーの中でもメキシコが最も主要な拠点となっている日産にはさらなる逆風になる。この業績悪化の流れが続けば、経営責任が問われるのは不可避だ。 (佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)
佃 義夫