割高でもインド株をなお選好、日本のバリュー株も人気-MLIV調査
(ブルームバーグ): 経済成長を企業利益に結び付けるインドの能力は、投資家にとって同国を日本や中国よりも有望な投資先にしている。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査が示した。
中国市場が低迷する中、インド株と日本株が力強く上昇したことでアジアの金融市場の状況はリセットされ、世界の投資家は地域別配分で3つの競合する極を得ることになった。
中国株のバリュエーションは魅力的な水準に低下し、日本ではコーポレートガバナンス(企業統治)の改善が進んでいるが、MLIVパルス調査に回答した390人のほぼ半数が、アジア3大国の中でインドを最良の投資先として選んだ。世界最大の民主主義国であるインドは4月19日から6月1日まで7回に分けて投票が行われる総選挙を控えており、今回の調査結果は「株式会社インド」にお墨付きを与えるものだ。
ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のアジア株式調査責任者キーラン・カルダー氏(シンガポール在勤)は、「インドでは国内総生産(GDP)の伸びが利益成長により良く反映されるなど、割安な中国株よりも割高なインド株を好む理由は多くある」と指摘。「安定した利益成長の実績と地政学的環境」がインド株をさらに後押ししていると述べた。
インドと日本の主要株価指数は今年に入って最高値を記録。インドでは急速な経済成長、日本では企業改革とインフレの緩やかな回復が追い風となっている。ブルームバーグがMSCIの指数に基づいて集計したデータによると、インド株は現在、来年の予想利益の約23倍で取引されており、日本の約17倍、中国の約9倍よりも高く、米国も上回っている。
デフレと不動産危機が経済の重しとなり、中国の主要株価指数は3年前のピークから約40%下落した。調査回答者の半数以上は、中国株式市場が今後12カ月にインドと日本をアンダーパフォームすると予想した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、3月までの1年間でインド株への純資金流入が250億ドル(約3兆8300億円)だったのに対し、中国株は53億ドルにとどまった。インド株への追い風には、人口増加や中産階級の拡大が企業利益の増加につながるという楽観がある。