車のサンキューハザードが「その場限りのマナー」だけじゃない、深~い理由
ルールとマナーの境界
突然だが、皆さんは「サンキューハザード」をご存じだろうか。サンキューハザードとは、運転中に道を譲ってもらったお礼や、自分の操作ミスや判断ミスで他のクルマに迷惑をかけてしまったときに、おわびの気持ちを伝えるために使うものだ。 【画像】えっ…! これが60年前の「海老名SA」です(計15枚) ハザードランプを数回点滅させ、後続車に感謝やおわびの気持ちを伝える。ドライバーなら一度は使ったことがあるだろうし、使っているクルマを見たこともあるだろう。 サンキューハザードは道路交通法には特に明記されておらず、使用する義務もない。つまり、使うかどうかは、ドライバーの自由なのである。 そうなると、明確なルールがないため、サンキューハザードを使うクルマと使わないクルマが混在することになる。ルール的には問題がなくても、マナー的に見れば、同じことをする人としない人がいることは、ドライバーの心理や運転に悪影響を及ぼす。 では、サンキューハザードを使う必要があるのかどうか、持論も含めて書いてみよう。
サンキューハザードの利用実態
利用する人と利用しない人が混在しているサンキューハザードだが、実際の利用実態はどうなのだろうか。これについては、仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)の個人的な経験を紹介したい。 駐車場大手のパーク24が2015年に行った調査によると、回答者の 「81%」 が道を譲られたときに会釈やハザードを交えてあいさつすると答えている。5人に4人以上の割合だ。しかし、私の経験では、使う人の割合はもう少し少ない。さまざまなシチュエーションを総合すると、60~70%の人ではないか。もちろん、地域や道路、状況によって使用率は変わってくるが、一般的な感覚としては 「使っている人のほうが多い」 くらいのレベルである。 さて、本題の「サンキューハザードは使うべきか否か」だが、積極的に使うべきだというのが、長年さまざまな場所や状況で運転してきた私の意見である。 運転は独りよがりであってはならないし、思いやりや譲り合いの精神は少なからず必要である。また、マナーという観点からも、周囲への配慮や気遣いを示すためにも、積極的に使ったほうがいい。 私はドライバーに使うことを勧めているし、おそらく他のドライバーよりも頻繁に使っているだろう。道を譲ってもらったかどうかわからないときでも、相手のドライバーに迷惑をかけたかどうかわからない状況でも、 「迷わず」 ハザードを点滅させる。これが正しいかどうかはわからないが、そうする明確な理由や目的があるのだ。