米国の暗号資産詐欺被害、2023年は8千億円近くで過去最大:FBI
米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センター(IC3)の新たな報告書によると、投資家は2023年に暗号資産(仮想通貨)関連の金融犯罪で過去最高の56億ドル(約7950億円、1ドル=142円換算)を失い、被害額は2022年から45%増加した。 米国時間9月9日に発表された同報告書によると、暗号資産関連の詐欺として2023年に最も広がり、また最も高額だったのは投資詐欺であった。昨年、同局が受け取った暗号資産関連犯罪の報告6.9万件超のうち、ほぼ半分が投資詐欺の報告であり、投資詐欺の加害者はなんと40億ドル(約5680億円)を持ち逃げしたことになる。暗号資産関連犯罪はFBIが受けた苦情の約10%を占めるに過ぎなかったが、56億ドル(約7950億円)という数字は全体的な損失のおよそ半分だった。 投資詐欺は通常、最小限のリスクで大きな利益を得る機会を被害者に約束するもので、近年増加している。昨年、最も顕著だった暗号資産関連の投資詐欺は、FBI が「信頼を利用した」詐欺と表現したものだ。「ピッグ・ブッチャリング(豚の屠殺)」と呼ばれることもあるこのタイプの投資詐欺は、詐欺師が大抵の場合メッセージアプリを介して被害者と関係を築き、詐欺的な暗号資産プラットフォームに多額の資金を投資するよう勧めるという長い期間にわたって行われる。そして、その資金を引き出すことはできなくなる。 FBI の報告によると、ピッグ・ブッチャリングや投資詐欺の被害者の多くは、「こうした詐欺的な投資による損失を補うために多額の負債を抱えている」とのことだ。投資詐欺に関する苦情を最も多く申し立てたのは 30 歳から 49 歳の被害者だが、最も多くの損失を報告したのは 60 歳以上の被害者で、昨年だけで 12 億 4000 万ドル(約1760億円)を超えている。 IC3は米国民と外国人の両方から苦情を受け付けているが、昨年同局が受けた暗号資産関連の詐欺報告の83%は米国の投資家によるもので、カリフォルニア州の住民は苦情件数(9522件)と損失額(12億ドル=約1700億円)の両方でトップとなっている。