「コンビニでお菓子を凝視し、食べた気に…」引退から2年、寺本明日香が明かす“食事制限に苦しんだ現役時代”「気合と根性で乗り切っていた」
現役引退を決断した日
それでもやがて競技生活に終止符を打つ決断のときは訪れた。 「体が思ったように動かないというのはありましたし、これ以上に目指すものがないというのもあって、終わるためにどうしたいかという思考になっていました。でもこのままフェードアウトして終わったら絶対に後悔する。だから引退試合をやって後悔のない演技をしようと思いました」 その舞台と定めた2022年4月の全日本選手権へ向けて本格的な練習を再開したが、やはり怪我はつきまとった。 「以前のような練習量でやっていると再び右足が痛くなって、練習はやりたいのにできないみたいな感じが続いて、右足甲が疲労骨折を起こして。それが分かったのは全日本の1カ月前、レントゲンでびしっと線が入っていて。だからといって全日本をやめるわけじゃない、最後だからどうなってもいいと思いました。最初は4種目出る予定でしたが、跳馬は走れないし蹴れないから難しいので他の3種目をちゃんとやろう、と。床は表現力でなんとかなるから、こんなもんかっていうくらい技を落として、バー(段違い平行棒)はちゃんとできましたけど、平均台のラストは今までのD難度以上だったのを、初めてC難度にしました」
最後の平均台を終え、思ったこと
最後の平均台を終えたあとの感覚をこう表す。 「東京体育館のすべてのものを全部拾い上げて、足先から頭に“どーん”っていう感じ。ちょっと言葉では表せないですね。でも、めちゃくちゃ良い終わり方をしたなって思います」 悔いなく終えられた――しかし実は、すべてをすっきりと終えられたというわけではなかった。《後編に続く》 (撮影=細田忠)
(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)
【関連記事】
- 【続きを読む】「絶対にやりなさいとは言わない」食事制限、体重管理もナシ…大学の指導者に転身した体操・寺本明日香(28歳)の今「すごく癒されるんです」
- 【写真】身長142センチ、かつて「天才少女」と呼ばれた寺本明日香さんの現在(28歳)の姿。現役最後の演技に、流した涙。オリンピックでの活躍写真も。この記事の写真を見る。
- 【人気】「下着が出る心配も違和感もない」新レオタードを考案した杉原愛子に、保護者から届いた切実な感謝「娘のレオタード着用に抵抗がありましたが…」
- 【気になる】「あのユニフォーム、今どうなった?」国内大会で着用者なし…性的画像被害を防ぐ“ユニタード”が体操界で普及していない「3つの理由」
- 【必読】平岩優奈は24歳で…女子体操選手の“引退”はなぜ早い? 体重制限で“燃え尽きる”リスクも…指導者の意見「こういう競技なので軽やかな方が」