「コンビニでお菓子を凝視し、食べた気に…」引退から2年、寺本明日香が明かす“食事制限に苦しんだ現役時代”「気合と根性で乗り切っていた」
苦しんだ食事管理「コンビニでお菓子全部を凝視して帰る」
必死に取り組んだものの、東京五輪の代表にわずかに届かなかった寺本が「もやもやしていました」というのは無理もなかった。 「東京オリンピックが始まった7月の終わり頃から4カ月くらいかな。周りから『体操まだ続けるの? 』と言われればやりたくない、『やめるの? 』と言われてもやめたくない。どうしたいか自分でも分からない状態でした。練習も行きたいときに行って、行きたくないときは行かない、みたいなわがままな感じで」 左足アキレス腱断裂以降の葛藤を語りつつ、心身の苦しみはそれだけではなかった。 例えば食事の管理だ。 「コロナの頃からは生活の部分まで細かく管理してやっていたんですよ。食事も。ただ勉強はいいことかもしれないけれど、勉強すればするほど『世の中にある食べ物は全部ダメ』『添加物はダメ』みたいな感覚になってきて、無駄な情報も入れてしまったかもしれないです。管理のしすぎで疲れて、ストレスがすごくありましたね」 次のエピソードは管理の徹底ぶりを物語っている。 「コンビニに行ってもお菓子にはお金を使わないと決めていたので買わなかったです。行ったらお菓子コーナーを見るんですよ。お菓子全部を凝視して帰る。コンビニだけじゃなくデパ地下に行ってケーキを眺めて帰る。そんな行動をしていました。見ることで食べた気になるというか。終わったら食べたいなと思いながら見ていました。早く引退したい、体操を早くやめて自分の好きな生活がしたいって思っていました」
「体重が軽い方が練習もこなしやすい。だから…」
食の管理は自らの意志によるもので、所属していたクラブからの厳しい食事や体重管理はなかったという。 「規制もないし毎日先生がチェックすることもなく、自分で管理する方針でした。ただ、体重が軽い方が動けるし、練習内容もこなしやすいんですよ。重いとしんどい。だから私の場合は自分で制限していた感覚です。この技をやりたい、じゃあどういう体型にしないといけないのかを考えて、食事を管理しないといけないみたいな感じでした」 日本代表として10年。長年にわたり活躍できた理由をこう語る。 「どの子も言うと思うんですけど、体操は体が小っちゃいほうが楽。(活躍できた理由として、)私も小っちゃいことは少なからずあるとは思いますね。体ももともとそんなに弱い方ではなかったのと、怪我をした際も(五輪、世界選手権の選考会の1つである)4月の全日本選手権には間に合わせることができていたのも幸運だったと思います。(チームの軸としての期待に対しては)あんまり考えないようにして、その分練習しようとしていました。気合と根性ってあまりよろしくないけど、現実として最終的には気合と根性で乗り切っていた感じです」
【関連記事】
- 【続きを読む】「絶対にやりなさいとは言わない」食事制限、体重管理もナシ…大学の指導者に転身した体操・寺本明日香(28歳)の今「すごく癒されるんです」
- 【写真】身長142センチ、かつて「天才少女」と呼ばれた寺本明日香さんの現在(28歳)の姿。現役最後の演技に、流した涙。オリンピックでの活躍写真も。この記事の写真を見る。
- 【人気】「下着が出る心配も違和感もない」新レオタードを考案した杉原愛子に、保護者から届いた切実な感謝「娘のレオタード着用に抵抗がありましたが…」
- 【気になる】「あのユニフォーム、今どうなった?」国内大会で着用者なし…性的画像被害を防ぐ“ユニタード”が体操界で普及していない「3つの理由」
- 【必読】平岩優奈は24歳で…女子体操選手の“引退”はなぜ早い? 体重制限で“燃え尽きる”リスクも…指導者の意見「こういう競技なので軽やかな方が」