近年、「ホールディングス化する企業」が中小大手を問わず増えているワケ【経営コンサルタントが解説】
厳しい環境下でも「持続的に成長していける企業」へ
「遠心力」が成長のキーワードであると述べたが、対比する言葉は「求心力」である。ただ、遠心力と求心力はトレードオフとしての概念ではなくて、強い遠心力を効かせるためには、それだけ強い求心力が必要という関係性にある。そして、その強い求心力の象徴が、最近のキーワードにもなっている「パーパス経営」だ。ミッション・ビジョン・バリューやパーパスを社会性の視座で示して、社員の心を引きつける。これはトップの役割である。このパーパスはエンゲージメントの源になる。そうやってモチベートされた社員が、エンパワーメントの効いた組織の中で生き生きと活躍する。そして、これをグループレベルで経営するモデルがホールディング経営であると言える。 ホールディング経営の目指すところは、企業がグループとして遠心力を効かせて成長することだ。そしてその主役は現場で活躍するリーダーである。そういうグループ経営を実践できる企業が、逆風の経営環境でも柔軟に、かつ持続的に成長していけるのだと思う。 中須 悟 株式会社タナベコンサルティング 執行役員 「経営者をリードする」ことをモットーに、企業の財務収益構造や組織体制、資本構成を大局的かつ戦略的に改革するコンサルティングを得意としている。著書に『ホールディング経営はなぜ事業承継の最強メソッドなのか』(ダイヤモンド社)、『オーナー経営者のためのホールディング経営』(タナベ経営〔現 タナベコンサルティング〕)がある。
中須 悟