AIチャットボットで詐欺師を撃退…「AIおばあちゃん」が引っかかったふりをして長電話(海外)
スキャベイティングは、電話またはオンライン詐欺のターゲットが詐欺師の時間を無駄にしようとすることである。 これによって、詐欺師を苛立たせ、他の人をターゲットにすることを防ぐことができるかもしれない。 イギリスのある企業が、それを代行してくれるAIチャットボットを作った。 「スキャベイティング(Scambaiting:詐欺用疑似餌)」は、電話またはオンライン詐欺のターゲットが、相手が詐欺師だと分かった上で、だまされたふりを続けることだ。その目的は、詐欺師の時間を可能な限り浪費させることだ。 このプロセスはしばしば滑稽であり、ユーザーが詐欺師をおびき寄せて、成功した試みを投稿するオンラインコンテンツのジャンルを生み出している。 だが、これを行うのには時間がかかる。そこで、イギリスの通信事業者バージン・メディア・O2(Virgin Media O2)が、解決策を提案した。それが、AI(人工知能)のおばあちゃん「デイジー(Daisy)」だ。 さきごろ公開されたデモンストレーション動画で、同社はAIチャットボットをどのように使えば詐欺師の時間を無駄にできるかを示した。 「この最先端のAIおばあちゃんの使命は、詐欺師と話し、詐欺師の時間を可能な限り浪費させることだ。人間のようにとりとめのないおしゃべりをして、本物の人間から遠ざける。また、イギリスは今、詐欺の流行に直面しているので、消費者が警戒を怠らないことの必要性を強調する意味もある」と同社は述べた。 この問題は、世界中に広まっている。財務分析会社IPXの調査では、アメリカ人のおよそ3人に1人は、過去1年間で詐欺の被害に遭ったことがあり、1人あたり平均1600ドル(約24万7400円)を失っている。アメリカ連邦取引委員会(FTC)によると、2023年に消費者から報告されたオンライン詐欺による被害額は100億ドル(約1兆5500億円)に上るという。 バージン・メディア・O2は、イギリス人の71%が詐欺師に対して仕返しをしたいと考えているものの、大半の人はそれに時間を費やすことを望んでいないという調査結果を受けて、デイジーの開発を決めたと発表した。 同社は、YouTubeで最も人気のある詐欺ハンター、ジム・ブローニング(Jim Browning)と提携し、AIチャットボットのトレーニングを行った。ブローニングは、長時間何も分かっていない被害者のふりをして、詐欺師を苛立たせることで知られている。彼のチャンネルの登録者数は430万人以上だ。 バージン・メディア・O2はBusiness Insiderに対し声明で、デイジーは「さまざまなAIモデルを組み合わせ、連携して、詐欺電話にすぐに反応する。そのリアルさは、一度に40分間も多数の詐欺師を電話に引き留めることに成功しているほどだ」と語った。
Kenneth Niemeyer