駐ウクライナ大使が語る、各国が「支援疲れ」で終わってはいけない理由 「ロシアの侵略を許せば、別の地域でも…」日本に期待される役割とは
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから2月で2年が経過しました。侵攻は長期化し、欧米ではウクライナへの「支援疲れ」が指摘されます。アメリカ議会では支援予算の承認が進まない上に、11月に控える大統領選で自国第一主義を掲げるトランプ前大統領が返り咲き、ウクライナ支援をやめる可能性も取りざたされます。前線ではロシア軍が攻勢を強め、ウクライナは正念場に立たされています。 ロシアが核攻撃に踏み切ったらアメリカはどこに報復するか? 米政権内で行われていた机上演習の衝撃的な中身
日本から遠く離れたウクライナをなぜ助けなければならないのでしょうか。一時帰国していた松田邦紀・駐ウクライナ大使に2月下旬、東京都内でインタビューし、現地の様子やウクライナ支援を続ける意義について尋ねました。(共同通信=崎勘太郎) ―侵攻から2年がたちました。 「侵略されているウクライナ国民の団結や連帯感、ロシアに対する抵抗心が引き続き強いことに感動しています。日本や欧米諸国が、ウクライナの主権と領土の一体性を守るための戦いを引き続き応援し続けてきたことも、国際社会の団結と連帯を示していると思います」 「ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国であり、核保有国です。世界の平和と安定に本来責任を持つべき国が、国連憲章を初めとする国際法を一方的に踏みにじって隣国に侵略しました。そしてウクライナは一方的に侵略をされた国です。この戦争の本質を忘れることなく、国際社会はウクライナ支援を続けるべきだと思います」
―ウクライナでの生活はどうですか。 「首都キーウ(キエフ)ではインフラは安定していて、物不足もありません。侵攻開始後に多くの人が避難し、人口は半分ほどに一時減少しましたが、昨年春には侵攻前とほぼ同水準に戻りました。ミサイルや無人機による攻撃は続いていますが、攻撃のたびに発令される空襲警報の精度も上がっています。緊張の中にも生活のリズムが生まれています」 ―大使館は侵攻開始以降、一時ポーランドに退避しました。 「2022年10月にキーウで業務を再開しました。戻らなかったらウクライナの状況が分かりませんし、ウクライナ政府との間でも、膝詰めでいろいろな情報交換、意見交換ができませんでした。2023年に先進7カ国(G7)議長国となった日本としては、ぎりぎりのタイミングで戻れて本当に良かったと思います。戻らないままだったらウクライナ政府からも、同僚の外交団からも相手にされませんでした」