駐ウクライナ大使が語る、各国が「支援疲れ」で終わってはいけない理由 「ロシアの侵略を許せば、別の地域でも…」日本に期待される役割とは
―ウクライナ政府高官からの日本に対する期待や要望の声は。 「遠く離れた日本が、早い段階から支援に立ち上がったことに驚きと感謝の言葉を受けます。あるウクライナの閣僚からは、もし日本がこの戦争に関して、ロシアを厳しく非難するとともにウクライナを支援してくれなかったら、ひょっとしたらこの戦争は、欧州の一地方の単なる領土紛争という位置付けで終わっていたかもしれないと言われました。欧州の安全保障はインド太平洋ともつながっています。ロシアの侵略行為が不問に付されるのであれば、同じようなことが別の地域でも起きて、世界の法と秩序は破壊され、日本にも大きな問題となります。ウクライナが防衛戦争に勝つことは、ウクライナだけでなく日本にとっても利益になります」 「日本が第2次大戦や度重なる自然災害から復興を遂げてきたことがウクライナでも知られるようになりました。日本の経験やノウハウを共有してほしいという期待があり、必要なものは一緒にウクライナ国内でつくってほしいという声も出てきました」 ―日・ウクライナ経済復興推進会議が2月に東京で開かれました。
「この会議は、まさに日本への期待が高まる中で開かれました。双方の民間同士でしっかり協力していこうという機運が具体的に生まれたことが最大の成果でした。民だけに任せるのではなく、戦時下でもビジネスを安心して推進できるような環境整備を両政府で進めていきます」 「世界銀行によると、ウクライナの今後10年間の復興には4860億ドル(70兆円超)が必要だとされます。日本だけでなく他の国にも復興に参加してもらうため、国際会議の場でも議論していきたいと思います」 ―今のウクライナを戦況で有利に立たせるためにできる支援は。 「ウクライナ側は、殺傷能力がある兵器を輸出できないという日本の法制度上の制限を理解し尊重しています。日本はこれまでにヘルメットや防弾チョッキなど、非殺傷性の防衛装備品を輸出してきました。負傷兵の受け入れや遺体のDNA型鑑定の技術的な支援なども行ってきました」 「戦争に勝つために必要とされる事柄の裾野は広いです。一つ一つは専門的で、一見小さく見えるかもしれませんが、ウクライナが勝つための能力整備に広い意味でつながればと思います」 ―和平についてどのように考えますか。