MAアルミニウム、ねじり管生産能力を倍増。5億円投資・エアコン向け需要捕捉
MAアルミニウム(社長・丸山茂樹氏)は、エアコン用アルミ配管の需要増加に対応するため、独自製法による内面螺旋溝付アルミ管(ねじり管)の生産能力倍増を決めた。総投資額は約5億円。富士製作所(静岡県裾野市)にねじり管の加工ラインを1ライン増設し、2025年11月から量産稼働を開始する。今回の設備投資により、ねじり管の生産能力を月50トン以上増加の月100トン以上とすることで旺盛なエアコン向け需要を捉える考え。 MAアルミのねじり管は、内面に溝をつけた押出素管をねじり加工と同時に引抜加工を施すことで、内面溝を螺旋化する「トルネード・ツウィスティング法(TT法)」を用いて製造した内面螺旋溝付アルミ伝熱管。管内に溝付きプラグを固定して引き抜く加工法に比べて、内面溝形状の自由度が高いほか、直接内面を加工しないため油やカスが管内部に残ることはない。同工法は優れた技術として軽金属学会の第58回小山田記念賞も受賞した。 MAアルミは、22年ごろからねじり管を空調機器用配管などとして販売しており、好調に推移している。背景にあるのは銅価格の上昇。エアコン用配管には熱伝導性の高い銅が多く利用されているが、昨今の銅価格上昇を受けてエアコンメーカーがエアコン用配管のアルミ化を推進。徐々にアルミ配管の採用が広がる中で、エアコンメーカーの生産拠点の国内回帰の動きも加速している。 エアコン用配管としては溝付管のほかに多穴管もあるが、顧客が銅管で使用していた設備をそのまま利用できるという点で溝付管にメリットがある。その溝付管の中でも特に品質優位性があるねじり管の引き合いが強まっている格好だ。 MAアルミのねじり管生産は足元でフル生産の状況となっているが、既存顧客向けの販売増に加え新規顧客向けの供給も始める見通しのため、新ラインの増設を決めた。新ラインは押出工場と県道21号線(三島裾野線)を挟んだ向かいの押出工場建屋に設置する。既存ラインと同等設備を導入する計画だが「生産性などを高めたラインになる」(井之上和弘執行役員)予定で、生産能力も月50トン以上を予定している。 ねじり管の販売をめぐってはルームエアコン向けが中心だが、今後は業務用パッケージエアコンなどへの採用も働きかけるほか、「エアコン以外の用途開発にも注力したい」(同)とする。また同社ではねじり管のほかにも多穴管も生産しているため、複数の選択肢から顧客に最適な製品を提案して、空調用アルミ配管需要の拡大に対応していく考えだ。