ゆとり教育への反動で復活した土曜授業 全国の実施率は1割…学力低下の反省というが、現場の先生は8割「なくてもいい」 鹿児島県一斉導入10年
鹿児島県は、14年度に研究協力校3校を指定。15年度には、全国で初めて県単位で一斉導入に踏み切った。本年度は県内全43市町村の公立小中・義務教育学校で年6~10回実施する。 当初掲げた学力向上はどうだったのか。全国学力・学習状況調査の正答数をみると、14年度の中学3年は国語、数学ともに全国平均を下回ったのに対し、23年度は国語が同程度となっている。 県義務教育課の水島淳課長は「要因の一つに土曜授業も挙げられるのではないか。ただ地域の協力を得た取り組みなど、土曜にしかできないことをするのが望ましい」と強調する。 ■「実施すべき」教職員の1.9% 学校の働き方改革が叫ばれる中で、教員からは負担軽減を求める声もある。鹿屋市の40代男性教員は「以前勤めていた中学校では、土曜授業の後に部活があると、生徒も教員も疲れた様子だった」と明かす。教員が平日に振り替え休日を取るのは難しく、長期休暇中に消化していた。
男性教員は「自分の時間を大切にしたい人も増えている。土曜授業の成果と、教員の確保をてんびんにかけると、時代に合わなくなっているのではないか」と疑問符を付ける。 県教職員組合は22年11月、県内公立小中学校や特別支援学校の全教職員に土曜授業に関するアンケートを実施した。1万2561人中1834人が回答。土曜授業は「なくてもいい」が84.3%に上り、「実施すべき」は1.9%にとどまった。朝野竜輔書記次長(44)は「現場の声を大事にしてほしい」と訴えた。
南日本新聞 | 鹿児島