長野五輪そり競技会場「スパイラル」なぜ休止? 五輪施設のあり方は
国の支援による再生か、事実上の廃止かの岐路に
一方、スパイラルの地元住民はアジアの中核的施設として守っていこうとの趣旨で100人余がボランティア組織をつくり、20年近くにわたってコースの草刈り、清掃、小学生のリュージュ教室などに取り組み、選手もサポートしてきました。このため昨年末にはボランティア組織として書面で「施設の維持継続」を加藤久雄長野市長に要望しています。 日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟も「スパイラルは冬季五輪そり3種目の国内唯一のNTCであり、多くの選手が育ってきた。中長期的な育成強化のためにスパイラルのNTC指定は必須。青少年がそり競技を目指して最初に滑走体験をする施設でもあり競技の普及・振興のために重要」として同じく昨年末、加藤市長に要望書を提出、競技団体にとって死活問題であるとの認識を示しました。 市もこうした動きを受けて、今年1月に市長名で鈴木大地スポーツ庁長官に「施設の存続に向け、施設維持の財源などを含めた方策について、国の特段の配慮を」と求める要望書を提出。市単独では難しいが、国の支援があればスパイラルの維持はできるとのアピールをしました。 市が今回決めた「冬期製氷休止」方針は、基本的には上述の(1)のパターンで、2018年の平昌冬季五輪の後は競技用としては使われません。その上で、 「国の支援による再生」と「市単独管理で休眠状態から事実上の廃止に進む」という2つの道の岐路に立つものと見られ、今後の関係機関などの動向が注目されます。 こうした状況に、スケルトン元五輪代表選手の中山英子さん(松本市)は「長い間長野を拠点に練習を積んだ者としては悲しいの一言で、ただただやるせない」と嘆きます。ただ、問題点として「コストがかかるのは長野五輪以前から分かっていたことだと思う。そのことを競技関係者がもっと真剣に捉え、ともしびを絶やさないよう施設の活用や選手育成に取り組むべきだったという反省が残るのではないか」と指摘しました。