二郎系、煮干、鶏醬油、町中華…元ラーメン店経営者が「潰れにくい」という視点で順位を付けた結果
■仕込みの肉体的な負担が大きい 客単価について、二郎系ラーメン単体の価格は900~1000円ほどが主流で、トッピングは豚追加くらいしかありません。客単価は低くもなく高くもないため、普通の評価として星2つです。 最後に、仕込みの大変さについては星1つとしました。 仕込みが長ければ労働時間が長くなり、ガス代や電気代も比例して多くかかります。 二郎系は煮込み時間が最低でも5~6時間必要で、重い骨や肉を大量に使います。 年を取っても続けられる町中華と異なり、二郎系は肉体的な負担が大きいです。 二郎系の総合評価は星7個となりました。 ■煮干の価格高騰が直撃 【煮干ラーメン】 続いて、煮干ラーメンです。 ---------- ・原価率 ☆☆ ・集客力と回転数 ☆☆ ・客単価 ☆ ・仕込み ☆☆☆ ---------- 近年人気が高まり煮干ラーメンの店舗数が増えているように思います。 ところが、この数年で煮干の価格が高くなり、煮干ラーメンの原価率も上昇しています。 長期的なイワシの不漁、燃油高などが原因と考えられ、今後も仕入価格の上昇傾向は続く可能性が高いでしょう。 煮干ラーメンは煮干以外の原材料をあまり使わないので本来コスト面で有利なのですが、煮干の価格が高くなってしまうとダイレクトに原価が上昇します。 それでも、二郎系ほどの原価率にはならない店が多いと考えられるので、星2つの評価とします。
■1時間も煮込めばスープが仕上がる 集客数と回転率について、煮干ラーメンは二郎系に比べると熱狂的ファンの絶対数が多くありません。 まだジャンルとして成熟しているとは言い切れず、新規店のオープンを楽しみに待つ人は一部にとどまります。 二郎系は交通が不便な地区に開店しても一定の客数を見込めますが、不便な場所にある煮干ラーメン店は、よっぽどレベルの高い店を除いて行列ができることは珍しいでしょう。 客単価に関して、煮干ラーメンはスープに麺、チャーシューにメンマなどのシンプルな仕上がりになることが一般的です。よく言えば伝統的な、悪く言えばサービスエリアやフードコートで食べられるラーメンとビジュアルが近くなりがちです。店舗のスタイルにもよりますが、他ジャンルと比べると、客単価は抑え気味になるでしょう。 仕込みについてですが、煮干は乾燥しているため軽く、1時間ほど煮込めば旨味のあるスープが完成します。 粘度高く仕上げたセメント系のスープは煮込み時間が長くなり、スープがらを絞るなどの追加工程がありますが、その点を考慮しても二郎系よりも仕込み時間は短く、体への負担も大幅に少ないです。年を取っても続けられる形態といえるでしょう。 煮干ラーメンの総合評価は星8個となりました。 ■昨今店舗数が増えている「鶏醤油ラーメン」 【鶏醤油ラーメン】 鶏と水のみでスープを作るスタイルのラーメンです。 昨今、店舗数を増やしています。 ---------- ・原価率 ☆☆☆ ・集客力と回転数 ☆☆ ・客単価 ☆☆ ・仕込み ☆☆☆ ---------- 原価率について、スープ材料が実質的に鶏しかないため、現状では仕入価格を低く抑えられます。 使う部位も鶏ガラやモミジ(鶏の足)部分がメインでしょうから、他ジャンルに比べてコスト面で有利です。私も鶏醤油ラーメンを試作していますが、低価格の市販材料でも開業できるレベルのラーメンを作ることが可能です。