二郎系、煮干、鶏醬油、町中華…元ラーメン店経営者が「潰れにくい」という視点で順位を付けた結果
■地方なら1日40人の来店数が現実的 もちろん行列ができる名店であれば、1日200人以上の来店があります。 ただ、このような店はごく一握りで、多くの店では1日100杯以上を売るのは難しいでしょう。 これが地方なら、平均して1日40人の来店数が現実的なラインです。 実際、私が八戸市で経営していた「ドラゴンラーメン」は、昼しか営業していなかったこともあり、市役所から徒歩1分という立地でも、来客数が40人を下回る日もありました。一方で、200人以上訪れる日もあり、来客予想の難しさに苦労した記憶があります。 ■一番潰れにくいラーメンはどれか さて、それほど厳しいラーメン店の経営ですが、今回は、二郎系、煮干、鶏醤油、町中華の各ジャンルについて、「潰れにくさ」の点から評価してみたいと思います。 もちろん、個別の店舗によって状況はまったく異なります。 あくまでジャンルごとの参考として、経営に重要な要素である、①原価率の高さ②集客力と回転数③客単価④仕込みの大変さを、星1~3で評価します。 なお、評価はラーメン店主としての個人的な経験と、公認会計士としての知見に基づき、独断で行っています。今後、ラーメン店を経営したい方のお役に立てば幸いです。
■二郎系は原価率が高い 【二郎系】 まず、二郎系です。 ---------- ・原価率 ☆ ・集客力と回転数 ☆☆☆ ・客単価 ☆☆ ・仕込み ☆ ---------- 原価率の低さは星1つと評価します。 二郎系といえば、並盛でも一般的なラーメンの大盛りを上回るボリュームが最大の特徴です。野菜マシ、脂マシ、にんにくマシは無料の店も多く、「豚」と呼ばれる分厚いチャーシューも、格安で追加できます。 客視点では、デフォルトのラーメンでもおなか一杯になり、コストパフォーマンスは高いです。店側の視点では、原価率が当然高くなります。 スープは一般的に、ゲンコツ、背ガラなどの骨と、豚を長時間煮込んで作ります。 使う食材の質、自家製麺を行うかどうかによって原価率は上下するものの、高い水準なのは間違いありません。 飲食店経営においては、目指すべき食材原価の目安は30%と言われますが、二郎系では40%を上回る店も珍しくないでしょう。従って、原価率は他ジャンルに比べて不利なので星1つとしています。 ■二郎系の強みは「集客力」 本店からのれん分けをした正統な「二郎」は全国に40店舗ほどあるそうです。 それ以外は、二郎に影響を受けた亜流のインスパイア店で、全国に無数の店舗があります。 ジャンルが確立した現在でも、地方都市においては、二郎系はまだまだ貴重な存在です。 私の居住する青森県八戸市の圏域では、30万人の商圏に対して、二郎系は4~5店しかありません。数がぶれるのは、人によって二郎系に入れるかどうか評価が分かれる店があるからです。 どの店もそれなりに人気を集め、行列ができることも珍しくありません。 また、二郎系には「ロット乱し」と言って、ダラダラと長居して回転ペースを乱す行為が罪とされるという話が広まっているように、早く食べて去るのが好まれる文化があります。 集客力、回転数ともに他ジャンルより高いといえるでしょう。