佐藤さんの挑戦は止まらない!日本のパンジー&ビオラの多様性とおもしろさを世界に【趣味の園芸10月号こぼれ話・後編】
『趣味の園芸』2024年10月号は、年々盛り上がりを見せる「パンジー&ビオラ」の魅力をぎっしり詰め込んだ46ページの保存版特集。オリジナル品種には熱狂的なファンも多い育種家・生産者の佐藤 勲さんにご登場いただき、なぜこんなにもパンジー、ビオラが愛されるのか、近年のブームを牽引してきた佐藤さんに、進化し続ける花の可能性を教えていただきました。 みんなのパンジー&ビオラの写真 日本のパンジー、ビオラの魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい。そんな思いから、佐藤さんは今、2つの新しい挑戦をされているそう。前編では、この冬から切り花としても流通するという、パンジー、ビオラの人気種について教えていただきました。後編では、さらなる挑戦についてお話を伺います。どうぞお楽しみください!
世界へ羽ばたく、日本のパンジー&ビオラ
編集部(以下、編):早速ですが、切り花のほかにどんなことに挑戦されているのでしょうか? 佐藤 勲(以下、佐):じつは、アメリカとカナダでもうちの花の販売を始めます。 編:またスケールの大きな話ですね。どの品種を販売するのですか?
佐:切り花と同じく、ローブ・ドゥ・アントワネットとエッグタルト、そしてドラキュラも販売します。 佐:私は大学を卒業してから数年間、アメリカで修行をしていました。そのときにお世話になった企業が向こうでの生産・販売に協力してくれることになりました。 編:なるほど! そもそもですが、アメリカでもパンジーとビオラは人気なのでしょうか。
佐:人気ですよ。ただ、日本とはいろいろと状況が違います。まず、日本で苗が出回るのは秋から冬ですが、アメリカでは春にも店頭に並びます。日本も昔はそうでしたが、今ではすっかり秋冬だけになってしまいましたね。私の花も、今シーズンは春に販売してもらって、来年からは秋冬と春の両方に販売してもらうことになっています。 編:日本では個人育種がすごく盛り上がっていますが、アメリカではどうですか? 佐:個人規模で育種をして、人気が出て、商品として出回るようになって、ということはないようです。大手の種苗会社が販売する、シンプルな品種が多く流通しています。 品種の多様性は、日本のパンジー、ビオラが世界一です。よい品種は他国にもいろいろとありますが、一番おもしろいのは間違いなく日本の品種でしょう。 普及品種中心ですから、日本のようにレアな品種を1鉢1株で愛でるような楽しみ方もしていないようです。楽しみ方も含めて、受け入れてもらえたらいいなと思っています。 編:流通時期も、楽しみ方も日本とは違うのですね。育種と苗の生産だけでも大変でしょうに、いろいろなことに挑戦されていてすごいです。私も見習わねば......。 佐:よい花と苗をつくることが第一ですが、一人でも多くの方に、パンジーとビオラのよさを知っていただきたいと思っています。 編:パンジー、ビオラのシーズンが待ち遠しいです。どうもありがとうございました! 〈終わり〉 佐藤 勲(さとう・いさお) 群馬県でパンジー、ビオラやニチニチソウなど、花壇苗の生産・育種を行う。苗の品質に強いこだわりをもち、生産技術の高さに定評がある。オリジナル品種には熱烈なファンも多数。 ●趣味の園芸テキストこぼれ話 『趣味の園芸』編集部によるテキストこぼれ話。最新号の特集や記事に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をウェブ限定でお届けします。