暫定2位浮上のJ2大宮を変えた高木琢也監督の手腕とは?
捲土重来を期して、今シーズンから前V・ファーレン長崎監督の高木琢也氏を新監督として招聘。長崎を戦う集団へ変貌させ、2017シーズンにはクラブ史上初のJ1昇格へ導いた51歳の指揮官は「ハードワーク」を一丁目一番地にすえて、攻守両面でよりアグレッシブなサッカーを目指した。 序盤戦は16戦連続負けなしを記録するなど、開幕から上位戦線に食らいついてきた。もっとも、16試合の内訳は8勝8分け。負けないものの、勝ち切れることもできない試合も少なくなかった。それでも大崩れしなかったのは、高木監督の丁寧なチーム作りが反映された部分が大きい。 「チーム全体でしっかりと修正して、勝ちにつなげるという気持ちが今シーズンは非常に強かったと思う。その意味で勝ち点を落としても次の試合でしっかり立て直して、連勝に結びつけて勝ち点を重ねるいいリズムを作っていましたし、シーズンを通して大崩れする時期がなかったと思います」 茨田の言葉通りに、これまで喫した連敗は一度だけ。愛媛FC、ヴァンフォーレ甲府に負けて迎えた9月7日のFC町田ゼルビア戦。開始3分に先制される苦境で起死回生の同点弾を決めてドローにもち込ませたのが、7月に出場機会を求めて横浜F・マリノスから期限付き移籍で加入したシノヅカだった。 ロシア国籍をもつ24歳のサイドアタッカーは、積極果敢なドリブルと闘争心を前面に押し出した縦への推進力を夏場以降のアルディージャにもたらした。ゼルビア戦で移籍後初ゴールを決めなければ、その後のアルディージャが描いた軌跡は大きく変わっていたかもしれない。 チーム状況に鑑みた的確な補強という意味では、同じく夏場に名古屋グランパスから期限付き移籍で加入し、3バックの右ストッパーとして14試合連続で先発フル出場している26歳のDF櫛引一紀の存在も見逃せない。高木監督の指導力とフロントの判断力が、車の両輪としてシンクロしている。