暫定2位浮上のJ2大宮を変えた高木琢也監督の手腕とは?
チーム作りの延長線上にあった序盤の影響もあり、アルディージャの引き分け数「12」は、上位陣のなかで6位の水戸ホーリーホックの「13」に次いで多い。一方で負け数「7」は一番少ない。それはレイソルも二度喫している連敗を一度だけに押さえている点が大きい。 そして、レイソル戦を含めた直近の4試合であげた3つの白星が、いずれも逆転勝利だった。それまでの34試合でマークした逆転劇がわずか3つだったことを考えれば、逆境をはねのけて追いつき、さらには勝ち切る力もつけている跡が伝わってくる。 前半の早い時間帯に失点する試合が続いていることに「もう少し楽な方法を選べないのか、とは思いますけど」と苦笑しながらも、高木監督は手応えを深めている。 「課題はありますが、勝って反省することができる。残り4試合、サポーターも含めて一体感をもって臨んでいきたい」 台風19号の影響で中止となっていた、ホームにアビスパ福岡を迎える第36節が6日に行われる。16位に沈む相手からしっかり勝ち点3を奪えば、順位から「暫定」の二文字が取れるだけでなく、レイソルにも勝ち点で3ポイント差にまで肉迫し、背中を射程距離にとらえる。 「今日勝てたことはすごく大きいし、波に乗っていけるチャンスではありますけど、次に勝たなければ今日の逆転勝利も無駄になってしまう。今日は喜んでいいと思いますけど、明日からは切り替えて、水曜日の試合へ心も体も100%で臨めるように準備したい」 J1で戦う舞台が約束されていた湘南ベルマーレから今シーズンに加入。自身が経験した2度のJ1昇格を、中学、高校時代を下部組織で過ごした愛着深いアルディージャに還元している、28歳の石川がこれからが真価を問われるとばかりに前を見すえた。上位に食らいついてきたアルディージャから隙が消えていくたびに、2年ぶりとなるJ1の舞台が近づいてくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)