愛用は「カルティエ」、次なる提案は「ウブロ」。熊澤大介さんが語る“道具”としての腕時計
「時計には、どこか色気を求めてしまう自分がいるんです」。 良い理(ことわり)をもつ料理道具を「良理道具」と名付け、自身の店舗「釜浅商店」で提案している熊澤大介さん。時刻を計る道具である時計には、料理道具とは若干異なる趣でもって接しているようだ。 ▶︎すべての写真を見る
実際、所有されている時計は、カルティエを中心に、手持ちのアクセサリーともよくマッチしている。 「数少ない男の装飾と考えている自分にとっては、素っ気ないものだとちょっと物足りないんです」と、時計に色気を求める自身の姿勢を分析。一方、道具らしさも大事にしているのが、熊澤さんらしい。
「もちろん実用性は大事ですよね。料理道具もそうですが、選びの目線としては長く使っていけるかどうか、というのは重視します。 時計をコレクションする人のなかには、飾るだけという人もいらっしゃると思いますが、僕はガンガン使う派です」。
確かに私物は経年変化によって良い味わいが醸し出されている。 「意識しているわけではないですが、道具店を営んでいるからか気付けば手元には機械式時計ばかり。チクタク時を刻むアナログな風情に惹かれているのかもしれません」。 熊澤さんが普段身に着ける服はミニマルなデザインが多い。そのぶん小物はアクセントになるものが好きで、それは時計選びにおいても大事にしているそう。 「次買いたい時計は、カルティエの“サントス オクタゴン”」と狙いを定めているそうだが、ヴィンテージなだけに出物次第。そこで、その逸品に代わる次の一本として、今回の処方箋を提案した。
加工の難しいセラミックケースをポリッシュとサテンで磨き分け、ジュエリーのような輝きを放つウブロの「クラシック・フュージョン セラミック キングゴールド」。 独自素材K18キングゴールドの個性的なベゼルが華を添え、38mm径&9.6mm厚の小ぶりさゆえに控えめなエレガンスを醸す。 「50歳となり、そろそろ年相応かな、とゴールドのコンビを狙っているのですが、こちらは黒とのコントラストに品のある色気を感じます。丈夫なセラミックケースは実用性を重視する自分にぴったり。 ウブロには少し骨太なイメージを持っていましたが、シンプルなダイヤルや38mm径のサイズ感も程良く新鮮。手持ちのアクセサリーにも似合うし、着け心地も上々。長らく時計は購入していなかったので、これはいいかも」。 熊澤さんの時計選びに新たな選択肢が増えたようだ。 釜浅商店 代表取締役 熊澤大介さん●1908年創業の東京・合羽橋の料理道具店「釜浅商店」4代目店主。2004年に同店を引き継ぎ、11年にリブランディング。18年にはパリにも出店し注目を集めた。