史上初「アニメの教科書」が発売、アニメーター向けの検定も実施 キーマン・西位輝実氏に聞く、検定実施の理由とは
アニメがもっと身近なものになってほしい
――私がある有名なアニメーターと一緒に食事をしたとき、テーブルに置かれている料理やビールの瓶をいろいろな角度から見るだけでも勉強になると言っていました。あれほどベテランのアニメーターが日々勉強していることに驚きました。 西位:アニメーターは日ごろから身の回りのものを観察していますし、見るものすべてが勉強だと思います。私が教わった先輩アニメーターは、トイレに座っているときも、上から見たときの姿を考えたり、さらに頭の中で動かしたりしていると言っていました。 ――凄いエピソードですね。 西位:その上で、キャラクターに絵で芝居をさせていくのがアニメーターの仕事です。そういった日頃のトレーニングを作品に落とし込んでいくための基礎が、教科書にまとめられています。自動車の運転でいうところの道路交通法です。後ろの工程に迷惑をかけないための素材の作り方を教える、ルールブックなのです。この教科書や検定で学んだことを生かしながら、絵のセンスや技術を自分で磨くことが大切だと思います。 ――アニメーターの皆さんの日頃の努力によって、世界に誇る文化が生み出されている。その第一歩を踏み出せるのが、アニメータースキル検定ということですね。 西位:検定と言っても気負わずに、アニメに興味のある人は気軽に受けてほしいです。アニメファンの方も、アニメがこうやって作られているのかと知る機会になると思いますから。子どもたちの間でもアニメがもっと身近になり、パラパラ漫画を描くような感覚で、もっと気軽に触れられるようになってほしいですね。 ライター・山内貴範 デイリー新潮編集部
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