静かなる殺し屋「高血圧」で病院に行くべき目安とは? 治療の目標値も解説
高血圧の人が治療で注意すべきことは? 塩分・運動・アルコールなど血圧改善のための生活習慣目安は?
編集部: 先ほどの「食事療法」についても教えてください。 安達先生: 食事はまず、減塩が指導されます。1日6g未満が目安とされています。日本人の平均摂取量は、だいたい10gなので、かなり努力が必要な数字です。 汁物を減らしてお茶にする、酸味や香菜などを活用して塩分が少なくても美味しく感じる工夫が必要です。もし肥満や脂質異常があれば、適切なカロリー量にすることも重要です。 編集部: 運動療法についてはどうですか? 安達先生: 運動は、血圧を下げるだけでなく、動脈硬化を予防するための様々な効果があることがわかっています。血圧を下げるためには、いわゆる有酸素運動を定期的に続けるのが効果的です。 ウォーキングや軽いジョギング、水泳などを30~40分以上、できれば毎日、少なくとも週に4日程度できると理想的です。 30~40分以上というと大変なイメージがあるかもしれませんが、早歩きや階段昇降などを1回につき10分以上、合計して1日40分以上できれば、定期的な運動にカウントできます。 ただ、運動を始めて体の不調を感じる際は、動脈硬化性の疾患がないか、病院でチェックを受けてください。 編集部: アルコールはどうでしょうか? 安達先生: 飲酒は、飲んだ直後は一時的に血圧が下がりますが、習慣的な飲酒によって血圧は上がります。実際、飲酒量を減らすことで血圧が下がる人は多いですね。 禁酒と思うとストレスに感じると思いますので、回数をグッと減らして、楽しみとして適度な飲酒ができるようになると良いと思います。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 安達先生: 高血圧の治療は、血圧を下げること自体が目的なのではなく、脳血管疾患や冠動脈疾患などの人生の予後を左右する大きな病気の予防が目的です。ですから、一般的な治療方法はあるにせよ、患者さん個人の状況に応じて、検査や治療を組み合わせる必要があります。 血圧が気になり始めたら、まず家庭血圧を測定しつつ、かかりつけにできそうな病院に相談してみてはいかがでしょうか。高血圧はサイレントキラーと呼ばれるように、はっきりした症状はないことも多いですが、放置しておけば確実にその後の健康に影響を与えます。 自分のリスクファクターや危険度を理解して、毎日の生活に活かせると良いと思います。長いお付き合いになることが多い疾患ですので、単に薬を飲むということではなく、心身ともにより健康的な生活にしていくお手伝いができればいいと思っています。