【知らないと失敗する!】実際にGMT時計を作って知った。セイコー、シチズンの汎用ムーヴメント事情(4)
このように同じGMTウオッチでも使い勝手がまったく違う。特に海外旅行で使いたいという人には現地時間の設定が簡単にできる前者が断然おすすめなのだ。ただデメリットもある。それはGMT針操作型に比べて高機能ゆえに価格が高いということ。 GMT針操作型は掲載したオールブラックの時計、アンダーンのベースキャンプ ステルス レザー(4万9500円)のように4万円台から販売されるなどかなりリーズナブルだが、時針操作型となると、ツートンベゼルの“アウトライン GMT-1950”のように、ミヨタ製機械で税込定価9万9000円と10万円を切る価格のモデルもあるが、セイコーやシチズンの国産大手が出しているGMTウオッチも含めてそのほとんどは安くとも10万円台かそれ以上と高額となってしまうのだ。
ちなみに、ここに取り上げたアンダーンとアウトラインの2種類のGMTウオッチはどちらも外販用GMTムーヴメントが搭載されている。アンダーンはセイコー(TMI)製のGMT針操作型キャリバーNH34。一方のアウトラインはシチズン・ミヨタ製の時針操作型キャリバー9075だ。つまり、セイコーもミヨタも外販用としてリリースしているのはそれぞれ1種類のみ、そのためどちらの外販用ムーヴメントを使っているかでGMT機能のタイプも判断できるというわけである。 機能を優先するのか、それとも価格か。いずれにせよ購入ユーザーにとって判断するうえでまずはGMT機能がどちらのタイプなのかは重要な情報。その意味ではもっと明確に表示するべきではないかと思う。 最後に、高額なグランドセイコーを除いた国産GMT自動巻きムーヴメントを搭載したGMTウオッチから、ここ半年以内にリリースされた新型を参考までに挙げておく。写真リンクには画像も掲載。気になる方はチェックを!
[時針単独操作型]
●シチズン|シリーズエイト880メカニカル。SS(41mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.9054)。22万円 ●シチズン|プロマスター メカニカル GMT。SS(44.5mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.9054)。13万2000円 ●セイコー|プレザージュ JAL国際線就航70周年限定モデル。SS(42.2mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.6R64)。18万7000円 ●アウトライン|GMT-1950。SS(37mm径)。5気圧防水。自動巻き(ミヨタ製Cal.9075)。9万9000円(記事掲載モデル)
[GMT針単独操作型]
●セイコー|プロスペックス ダイバースキューバ。SS(42mm径)。200m潜水防水。自動巻き(Cal.6R54)。20万9000円 ●セイコー|5スポーツ Field Street Style GMT。SS(39.4mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.4R34)。5万5000円 ●ケンテックス|マリンGMT。SS(44.8mm径)。150m防水。自動巻き(セイコー製Cal.NH34)。9万9000円 ●アンダーン|ベースキャンプ ステルス レザー。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(セイコー製Cal.NH34A)。4万9500円(記事掲載モデル) 文◎菊地吉正(編集部)
菊地 吉正|パワーウオッチ、ロービートなど時計専門誌の発行人兼総編集長。時計ブランド「アウトライン」も展開。ロレックス通信連載