「2024年問題」解決も? 各業界に広がる自動運転“レベル4”【WBSクロス】
特集「WBSクロス」、今回のテーマは「自動運転レベル4」です。運送業のドライバー不足への対応策としてなど、様々な業種で自動運転への期待が高まっています。ただ足元で見えてきた課題もあるようです。 日本の空の玄関口、羽田空港。その近くに去年全面開業した大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」で先月始まったのが、大手ゼネコン鹿島建設などが運営する無人バス「ARMA」です。民間主体での日本初の「自動運転レベル4」、つまり決められたコースなど特定の条件下での無人の完全自動運転です。 車内にはもちろんハンドルやブレーキなどがありません。それでも、地面に「止まれ」と表示がある場所ではそれを認識し、しっかりと一時停止。そして、歩行者が道路を渡ろうとすると、センサーが検知して停止。歩行者が渡り切った後に動き始めます。 当面は事故発生時の救護などに備え、スタッフが1人同乗しますが、基本的に何もしません。将来は車内カメラを通じた遠隔監視だけにする予定です。 この仕組みを支えるのが車体につけた10個のセンサーと、車内と車外のカメラ4台です。「鹿島建設」開発事業本部の加藤篤史事業部長は「横に広い施設で縦横無尽に“横移動するエレベーター”として使ってもらえたら」と話します。 ARMAは検証を重ね、8月中に定期運行を始める計画です。その先にはゼネコンとしての都市開発での活用も見据えています。 「開発事業を手がける鹿島の物件同士を繋ぐ。そんな将来像もあってもいいのかもしれない」(加藤部長)
完全自動運転実現への課題
羽田空港からおよそ90キロ離れた茨城・境町。ここに自動運転バスの遠隔監視センターがあります。中をのぞくと多くのモニターがあり、映っていたのは、各地で自動運転が行われているバスからの映像です。羽田のバスの映像もありました。 このセンターでは、これまで全国10の地域、25台のバスの運転席にドライバーが乗るレベル2の自動運転を監視していましたが、今回初めてドライバーのいないレベル4の監視が始まりました。監視するスタッフは3人です。しかし課題もあります。 「1人の遠隔監視者が10台、100台の車両を見ていく。トラブルが発生したときに本当に1人で足りるのか」(自動運転バスの運行・監視をする「ボードリー」市場創生部の星野達哉部長) 自動運転バスは世界で拡大。2030年の市場規模は、現在の6倍近い89億3000万ドル、日本円で1兆3000億円ほどになると見込まれています。この急拡大に対し、緊急時対応のスタッフなどが不足すると懸念されているのです。さらに別の課題もあります。 「海外の車両を主に使っているが、年間数十台のレベルを導入するなかで、全国の公共交通を支えていくのは難しい。国産の品質の高いものを量産化していくのが今後重要になってくる(「ボードリー」市場創生部の星野部長) 実際に羽田で使っていた車両は、フランスのスタートアップ「ナビヤ」社製。現場では需要の増加に対し、国内メーカーの自動運転バスが少ないと感じているようです。