ヤマトタケルゆかりの神社修復と古民家の改装 高齢化が進む集落、歴史ファンの応援求めて地域文化の継承目指す
長野県富士見町境の先達(せんだつ)地区の住民有志でつくる「先達の文化遺産をまもる会」が、クラウドファンディング(CF)活用し、集落にある江戸期の古民家を改築した一棟貸しの民宿開設と、日本武尊(やまとたけるのみこと)にゆかりがあると伝わる「神明社」修復に向けて資金を集めている。集落の高齢化が進む中、広く資金を募り地域振興や文化の継承を目指す。 【写真】日本武尊にゆかりがあると伝わる「神明社」はこちら
同会は経営技術コンサルタントの小林寿政さん(62)が2月に設立。現在は住民ら15人ほどが参加し、町に要望書を提出するなど地域の文化遺産保護に向け活動している。
先達地区は高齢者が多く衰退が進む一方、八ケ岳連峰や甲斐駒ケ岳を望む棚田など風光明媚(めいび)な農村風景が残る。隣接する山梨県北杜市小淵沢町では宿泊施設の需要も高まっていることから、地区に残るかやぶき屋根の古民家を改装し、団体向けの一棟貸しの宿として開業を目指すことにした。
神明社拝殿は1657(明暦3)年、諏訪高島藩2代藩主諏訪忠恒が命じて建立。40年前に屋根などを修復したが、現在は土台の腐敗が進む。高齢化で集落の住民だけでは修復や観光振興は難しいことからCFを活用する。
先達地区の民家からは、日本武尊が東征の帰路、神明社のあった場所に休息で立ち寄った―とされる明治時代の由緒書が3年前に発見された。北杜市の各地でも日本武尊が訪れた伝承が残っており、地元の歴史ファンや神話好きの人にも支援してほしいという。神明社氏子総代の小林大輔さん(54)は「手を差し伸べる方がいたら、渡りに船です」と話し、「集落外からも資金を募り、何とか地域の魅力を発信していきたい」と協力を求めている。