ヒューマン 横浜流星、5日スタートのNHK大河「べらぼう」で江戸のメディア王・蔦屋重三郎を熱演 渡辺謙に授かった演技金言『とにかく真っすぐ全力で』
挑戦の一年が始まる。5日スタートのNHK「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜後8・0)で大河ドラマ初出演にして初主演を飾る俳優、横浜流星(28)。〝江戸のメディア王〟と呼ばれた「蔦重」こと蔦屋重三郎として、戦のない新しい大河を届けるため奮闘中だ。「自分も誰かのために動ける人間でありたい」。主人公の生き方に背中を押されているという横浜が、作品への思いや作り手としての野望を語った。(ペン・宮越大輔、カメラ・蔵賢斗) 撮影の合間に行った取材。多数の媒体に対応するため時間はわずかだったが、席を立ってもギリギリまで答える真摯な姿勢に、情に厚く何事にもチャレンジし続けた主人公の姿が重なった。 「蔦重は動く人間なので、一日の撮る量が多く順番も結構バラバラ。いわゆる〝こなす〟になってしまわないようワンシーン、ワンカット妥協せず、こだわりをもってやっています」。昨年6月のクランクインから半年。国民的ドラマの看板を背負う男の表情は、充実感にあふれていた。 今作は大河ドラマ初の江戸時代中期が舞台。浮世絵師の喜多川歌麿らを見いだし、東洲斎写楽を世に送り出した蔦屋重三郎の人生を描く。NHKドラマ初出演で大河の主演を託され、「役者人生の一つの目標だったのでうれしかったのですが、それよりもなぜ選んでいただけたのか…今でも疑問です」と苦笑。「でも選んでいただいたからには、責任と覚悟をもって作品を届けたい」と背筋を伸ばす。 2011年に俳優デビュー。役を重ねるごとに進化した姿を見せてきた。転機となった作品は14年の特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」と告白。「1年半出演させていただいて芝居の楽しさを知り、この世界で生きていこうと決めました。10年がたち、同じような経験ができることに運命を感じています」と喜びをかみしめる。 今作は大河らしい派手な合戦シーンはなく、〝商いの戦い〟が展開される。「町人が主役なので堅苦しさがなく、喜劇要素のあるエンタメになっている。いい意味で大河らしくない作品」と紹介。「今まで大河ドラマを見ていなかった方々に届くとうれしいですし、それを届けるのが自分の使命だと思っています」と力を込めた。 そんな横浜が大事にしているのが、権力者・田沼意次を演じる大河の大先輩、渡辺謙(65)から授かった金言だ。渡辺が「独眼竜政宗」(1987年)で主演を務めたのは今の自身と同じ年齢。今作の前に親子役で共演した映画「国宝」(6月公開)の撮影の際、一緒に食事したといい、「『とにかく真っすぐ全力でやればいい』と力強い言葉をいただいた。その言葉を信じて、今は蔦重として生きています」と感謝する。