早田ひな パリ五輪で左腕負傷し選手生命の危機だった 元コーチが涙の初告白「なんで神様ここで…」
パリ五輪の卓球女子シングルスで銅、団体で銀メダルを獲得した早田ひな(24=日本生命)の専属コーチを9月末まで担当してきた石田大輔氏が、1日放送の日本テレビ「Going!Sports&News」(土曜&日曜後11・55)にVTR出演。パリ五輪の舞台裏を涙ながらに初告白した。 【写真】「早田ひな」ってこんな人 独特の“ひな語”駆使、年季入った遠征のお供とは… 早田が中学3年の時から指導を始めた石田氏。「ひなのコーチをって話が出た時には思い切って退職を決意した。あの子が本気でやる以上は私も本気でやらなきゃいけない」と勤めていたスポーツ用品店を辞め、早田の専属コーチに就任。卓球以外の料理面でも早田をサポートしてきた。 パリ五輪の女子シングルスでは3回戦まで全てストレート勝ち。しかし、準々決勝で早田の左腕に異変が起きた。石田氏は「オリンピックっていう緊張感の中でのあのラリーの数で体は限界に近かった」と振り返った。試合中に早田がタイムアウトを取り、左腕を気にしながら石田氏の方へ早田が歩み寄ってきた。「表情を見たら普段とは違う表情をしていた。“どうした?”って聞いたら“多分、まずい。(左腕が)いってます。もうできないかもしれない”って」と当時の会話を明かした。 石田氏は「血の気が引いて走馬灯のようにうわーっていろんなことがめぐってきた。僕らの集大成として臨むという思いのオリンピックだったから、そこでこれかっていう」と心境を明かした。 左腕を負傷した後のゲームプランとして「接戦になっていたらこの状況だったら勝てなかったかもしれないから、“この1本に集中しなきゃ”っていうのをひなが言った。本当に今までの10年間の中で2人の最大限の予測を作った」と長期戦に持ち込まれないために早期決着を図ったと説明。見事第7ゲームを制して準決勝進出を決めた。 しかし、試合直後に早田が石田氏に「僕との2人の時に“なんで神様ここでいたずらされたんだろう”ってポロってひなが言った。10年やってきた中でこんなにもひながつらそうな心の言葉っていうのを聞いたのは今までなかった」と明かした。 準々決勝後に左腕の診察を受けると、石田氏は「選手生命がどうなるか分からないくらいの状況。選手寿命もこの後も分からないって言われた」と説明。「でも、どんなことよりもひなの夢を諦めさせるわけにはいかない。夜中の2時、じゃあできることをやろうって。テーピングも何回くらいまき直したかな。20~30回まき直したんじゃないですかね。でも、ダメだ、ダメだって言って。その時はヤバかったですね。できないかもしれないってなったから、“やっぱり、そっか”ってなってしまって」と2人で絶望のふちに立たされていたという。石田氏は「僕も絶対涙流しちゃダメだって。朝4時、5時くらいまで何回もテーピングをまき直しました」と目に涙を浮かべて振り返った。 これからの選手生命を取るか、パリ五輪に全力を尽くすかの究極の選択を迫られた2人。石田氏は「パリ五輪を棄権すればひなの腕が100%治るって言われていたら棄権の言葉も浮かんだかもしれないですね」と振り返った。それでもパリ五輪に懸ける方を選択し「ひょっとしたらもう卓球ができなくなるかもしれない。だったらもう目の前の一つ、一つの試合、勝っても負けてもこの場を楽しんでやっていこうっていう覚悟もすぐ決まっていた」と話した。