「もう二度とあの悔しさを味わいたくない」 最後に代表の座逃し涙をのんだ3年前 悲願の五輪へ、柔道の出口クリスタが挑む大一番
柔道女子57キロ級カナダ代表として世界柔道2連覇へ
柔道女子57キロ級カナダ代表の出口クリスタ(日本生命・松商学園高―山梨学院大出)が19日にアブダビで開幕する世界選手権で2連覇に挑む。パリ五輪代表を懸けた最終戦。好調を持続する28歳は「パリまで突っ走る」と、あと一歩で東京五輪出場を逃した3年前の悔しさを晴らす覚悟だ。 【写真】柔道グランドスラム東京大会で優勝し、試合直後に笑顔を見せる出口クリスタ
世界ランキング1位ひた走る
パリ五輪金メダル候補が集結した5月上旬のグランドスラム(GS)カザフスタン大会。準決勝で舟久保遥香(三井住友海上)を退けた出口は、決勝で2022年世界選手権優勝のラファエラ・シウバ(ブラジル)を撃破。「今年はすべての試合で優勝する」と宣言した通り、今年3度目のGS優勝を飾り、世界ランキング1位をひた走る。
代表の座を争うのは3年前と同じライバル
ほかの国や階級であれば代表当確だろう。ただ、カナダ代表の座を争うのは、世界ランキング2位のジェシカ・クリムカイト。同じ構図だった東京五輪は21年の世界選手権を制したクリムカイトがカナダ代表となり、出口は涙をのんだ。 「もう二度とあの悔しさを味わいたくない」と東京五輪後に進化を続ける出口に対し、クリムカイトも健在。世界選手権やマスターズ大会、GSなどの主要国際大会は、ほとんどの優勝を2人が分け合っている。
狙うのは優勝だけ
パリ五輪代表争いは、昨年5月の世界選手権を制した出口がリードを奪った。その後も「ジェシカ(クリムカイト)が出る大会に自分も出てランキング1位を守る」という狙い通りに連戦を乗り切り、上位の立場を固めている。 今回の世界選手権で出口が決勝に進むか、クリムカイトが優勝を逃せば、出口の世界ランキング1位が確定する。ただ、東京五輪の時は直前になってカナダ連盟が直近の世界選手権の成績だけで代表を決めると方針転換し、優位な状況にいた出口が逆転されるという予期せぬ事態もあった。女子57キロ級が行われるのは20日。初の五輪切符が懸かる大一番で狙うのは「優勝」だけだ。 (千野裕理)