生命保険から損害保険まで…人生のリスクヘッジ〈保険の種類と役割〉をシンプルにまとめてみた【FPが解説】
人生のリスクを回避・軽減する目的で、多くの保険が販売されています。しかし、これらについて体系立てて整理・理解している方は多くありません。ここでは、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が、保険の種類と役割について、わかりやすく解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
人生のリスクヘッジの役割を担う「保険」
去年、両親が相次いで亡くなりました。私の両親は保険に加入しておらず、病気治療に伴うこまごまとした出費や、相続税の納税資金の負担などもあり、子どもとしてはかなり大変でした。そのため、自分は周囲に迷惑をかけないよう保険を見直さなければと考えていますが、わからないことも多くて頭を抱えています。保険の種類と役割について教えてください。 50代会社員(横浜市青葉区) 人生には「リスクマネジメント」の視点が大切です。「リスク」=「未来の予測不可能な出来事によって生じる損失の可能性」であり、私たちの生活にはさまざまなリスクがあります。保険はそんなリスクの「リスクヘッジ」の役割を担っているのです。 保険制度には「公的保険」と「私的保険」があります。公的保険は国によって運営される強制的な制度で、最低限の保障を提供しますが、私的保険は民間の保険会社が提供するもので、公的保険だけではカバーできない部分を補うために利用されています。 民間の保険には「生命保険」と「損害保険」があり、生命保険は人の生死に関わるリスクをカバーし、損害保険は物や責任など広い範囲のリスクをカバーします。
保険契約者は「保険業法」によって守られている
保険の販売(=保険の募集)には明確なルールが存在します。保険契約を締結するためには、保険募集人・保険代理店・保険仲立人など、特定の資格を持つ人による媒介や代理が必要です。これらの人々は、保険契約者と保険会社の間で重要な役割を果たし、適切な保険商品の選択をサポートを行います。 保険業法は、保険契約者の保護を目的とし、保険募集人による不当な勧誘や誤解を招く行為を禁止しています。契約者にとって重要な情報を正確に伝える義務があり、不実告知を勧めたり、告知を妨害したりする行為などは厳しく禁じられるとともに、消費者契約法では、消費者が不適切な勧誘によって契約した場合、その契約を取消す権利が認められています。 契約者が保険料の支払いが困難になった場合も、解決策が用意されています。保険会社は、払込猶予期間や自動振替貸付制度などの制度を設けており、契約者が一時的な経済的困難に直面したときにも柔軟に対応できるようになっているのです。