「平和の種をまいているの」 “アオギリの語り部” 沼田鈴子さん 遺品が紡ぐ思いと願い
いつかは、公的機関などへ預けることも見すえて、1万点を超える遺品一つひとつを整理していきました。 原爆資料館の学芸員にアドバイスを受けながら数年かけて沼田さんが書いた原稿や手帳、日記にある走り書きなども含めて目録にまとめました。 ■証言した人は年間1万人を超え 遺品から伝わる強い思い 沼田さんの活動をうかがえるのが手帳です。修学旅行生らへの証言だけでなく、海外での証言の予定もぎっしり詰まっています。 被爆アオギリのねがいを広める会 清水正人 さん 「多いときは1日6校あった。朝2校、昼3校、それから夜1校。証言している人は、年間1万人を超えている」 精力的に証言活動を続けていた沼田さんでしたが、晩年は入退院を繰り返し、手帳にも空白が目立つようになりました。 沼田さんの手帳より 「徐々に左肋骨が痛い。痛み止めが、なかなか効かないとか」 「病院に来て、そのまま原因不明で入院。午前3時であった」 それでも、退院すればすぐに予定されている証言に向かっていきました。 清水正人 さん 「本当に激動の人生だったと思う。沼田さんの思いの強さというのは、手帳や目録からも見えると思う」 こうした沼田さんの思いを知ってもらおうと、会のメンバーは整理した資料の一部を展示することを決めました。写真を中心に沼田さんが歩んだ道を紹介します。 生前、被爆証言をすることを「平和の種をまいているの」と語っていた沼田さん。その思いや願いは、いまも紡がれています。 沼田さんの遺品展は7月29日から8月4日まで、広島市まちづくり市民交流プラザ(広島市中区袋町)の1階ロビーで開かれます。
中国放送