【ハリスの企業との距離という弱点】大統領選の焦点、民主党の経済議論の現実
フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのラナ・フォルーハーが、7月29日付の論説‘Kamala Harris must reaffirm her commitment to Bidenomics’で、ハリスはバイデノミクスへのコミットメントを再確認すべきだ、ハリスは目下強力に見えるが大企業への過度の接近という罠に落ちないように注意する必要がある、と述べている。主要点は次の通り。 ハリスはバイデンよりも大企業に近い。ハリスにとり、特にビッグテックとの関係が弱点にならないように注意深い管理が必要だ。 トランプの副大統領候補バンスは、一部共和党員と同様にリナ・カーン連邦取引委員長を称賛する(民主党の有力寄付者はカーンを厳しく批判)。民主党が11月に勝つためには、2016年のヒラリー・クリントンのようにハリスを大金持ちに支配されるエリートとして描写させることを共和党に許してはならない。選挙は、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンで勝敗が決まる可能性が高い。 ハリスは16年のヒラリー程の弱点はない。バイデンの再産業化支援法案の成立に尽力、「ケア・エコノミー」(家事、育児、介護等の経済活動)を強く支持、親への税額控除の拡大等を推進してきた。しかし大企業対応の実績や反トラスト法についての立場は不明確である。大企業による市場歪曲等につき、もっと深く関与すべきだ。 ハリスは、政治と経済の振り子が何十年にわたり政治を支配した新自由主義のパラダイムからどれ程大きく揺れ戻ったかを理解している。市場が常に機能する訳ではない理由や、大企業がいかに経済的、政治的権力を使って市場を歪めているかについて、もっと深く関与する必要があるかもしれない。 ハリスはバイデノミクスの核心、つまり公正な市場確保のために企業であろうと中国等の国であろうと権力の集中に対する闘いへのコミットメントを再確認すべきだ。そうしないと、11月に重要州で労働者階級の有権者を失う危険がある。 * * *