非恋愛・非婚・非出産・非セックス…文在寅政権下で先鋭化した韓国の急進的フェミニズム「4B」が全米で急拡散のワケ
文在寅政権下に男女対立激化
冒頭で述べたように、4B運動の発祥地は韓国だ。2016年5月にソウル江南で発生したいわゆる「江南駅殺人事件」がこの運動拡散の引き金を引いた。精神病を患っていた30代の男性が江南駅近くの公衆トイレで見ず知らずの女子大生を殺害した事件だが、犯人は「普段から女性に無視されてきたため、犯行を犯した」と自白した。 この事件に対して多くの社会学者と女性活動家が「女性嫌悪犯罪」と規定し、女性の間では「韓国社会に深刻な女性嫌悪文化が存在する」という批判が提起された。このような主張が力を得て、インターネット上だけで存在していた急進的なフェミニズムが現実社会でも噴出し、すべての男性を「潜在的な犯罪者」と見て、男性とのいかなる関係を拒否するという4B運動のような極端な運動が社会の注目を集めた。 2017年に発足した進歩派の文在寅政権はこのような潮流を素早くキャッチし、「フェミニスト政権」であることを自任した。ちょうどこの時に爆発した世界的な「#MeToo」運動が韓国へ渡り、政治、文化界をはじめとする社会各界を揺さぶる中、韓国におけるフェミニズム運動は爆発的に成長していった。 だが、このような潮流に適応できない一部の男性の間では、その反作用で「アンチフェミニズム」の情緒が強化された。文政権の時に行われた世論調査では、20代~30代の若い男性たちの7割以上がフェミニズムに対して拒否感を持っているという結果が出た。彼らは、フェミニストたちが男性を悪魔化していると主張し、フェミニストたちの主張に同調する文在寅政権が男性を逆に差別していると信じ込んでいた。 進歩派の文在寅政権と対立する保守政治家たちは、若い男性たちのフェミニズムに対する敵愾心を選挙に利用して、十分な効果を得た。「国民の力」党出身の李俊錫(イ・ジュンソク)改革新党議員は、自らを「フェミニズムのアンチテーゼ」と宣伝し、若い男性から圧倒的な支持を得ている。尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領は2022年3月の大統領選挙直前、「女性家族部(女性関連支援政策を総括する部署)廃止」を公約に掲げ、若い男性たちから組織票を得て大統領に当選するのに大きく助けられた。 韓国のジェンダー対立は政治家たちによって日増しに深刻化され、現在は世界で最も極端なジェンダー格差国家という不名誉を抱くようになった。英『フィナンシャルタイムズ』の「グローバルジェンダー格差が広がっている」(「Global Gender Divide is Emerging」、2024/01/26)という分析記事によると、20代男性の保守化が極端に現れている韓国は、若い男女間の理念的格差問題が世界で最も極端な状況に置かれているという。 米国も今回の大統領選挙を通じて若い男女の理念間の格差がメディアにクローズアップされたことで、4Bのような極端な運動が「K-フェミニズム」として頻繁に紹介されるようになったと思われる。 ただ、4Bのような急進的な「K-フェミニズム」が、K-POPやK-FOODのように世界的な共感を得られることは難しいだろう。
金 敬哲(ジャーナリスト)
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