クラシック音楽の楽しみ方は案外シンプル?崔文洙×堀井美香による対談インタビュー
観客も当事者。生で聴くコンサートの魅力
─堀井さんはコンサートに行くとき、作曲家の生涯や楽曲の背景について予習をすることはありますか? 堀井:全然勉強しないで行くこともあって楽しいですが、楽曲の時代背景や、なぜ(その曲が)書かれたのかを勉強すると音楽が深く入ってくるのはあると思います。 私たちはよく朗読をするときに「書かれた裏側にあるテーマを探しなさい」と演出家の方によく言われるんです。それと同じで、体に入ってくるものを「じつはこういう考えで曲がつくられたのかな?」とイメージすると良いと思います。 崔:裏側を読みながらつくる点は、演劇の役者さんとも似ていると思います。間をどのぐらい取るのかもそのときの時間や会場のキャパシティとか、湿度とか、体調によって変わるじゃないですか。 お客さんの集中度とかを感じながらやり取りしているところもあるので、自分とお客さんのお互いの集中が高まっているときは間を空けてみたり、逆に散漫なときには一気にまくしたててみたいな。 堀井:観客として観ていてもすごくわかりますね。 ─観客も当事者で一緒につくっているんですね。 崔:同じお客さんとはそのときにしか会えないですし、同じ演奏はやろうとしてもできないので、そのとき1回しかないのがライブの醍醐味ですね。 生でコンサートを聴くうえで、電気を使っていないのもクラシックのいいところです。空気を振動させてみんなの耳に伝わっていく音楽なので、CDやダウンロードを録音で聴くのとはまったく別物なんですよね。なので、会場に足を運んでいただきたいです。
テキスト by 廣田一馬 / インタビュー by 生田綾、南麻理江 撮影 by 丹野雄二