クラシック音楽の楽しみ方は案外シンプル?崔文洙×堀井美香による対談インタビュー
崔が考えるクラシックの魅力とは?
─クラシック音楽はポップミュージックやロックなどの歌詞のある音楽と比べて難解なイメージ持ってる人が多いと思います。崔さんの考えるクラシック音楽の魅力をお伺いしたいです。 崔:例えばオペラは全部歌詞があるのですが、内容はシンプルでわかりやすい恋愛ものがメインです。歌詞が素晴らしいから曲が残ったというより、曲が素晴らしい、綺麗なメロディがあるからいまだに歌われてるのではないでしょうか。 邦楽では歌詞から入ることもあると思いますが、鼻歌でつい歌ってしまうようなときには歌詞よりもメロディを意識していると思うので、いろんな曲を食わず嫌いせず聴いて、「なんかいいな」「しっくりくるな」っていうのを見つけていただけると嬉しいですよね。 ヨーロッパだと子供たち向けの音楽教室でオーケストラがいきなりモダンな超前衛的な曲を演奏することもあるのですが、ちっちゃい子たちはまったく偏見がないので楽しめちゃうんです。 そういう意味で言うと、みんながモーツァルト、ベートーヴェンと言ってるからそこから聴く、というように型にはまらず、何でも楽しんでみるというのは人生でとても大事なことだと思います。なのでクラシックに限らず、好きなものも、好きじゃないものも1回聴いてみるのは大事だと思います。 ─崔さんはヴァイオリニストですが、何かおすすめの1曲や作曲家などはありますか? 崔:ヴァイオリニストとしてはロシアに長年いたこともあり、作曲家のショスタコーヴィチに重点を置いて活動をしています。 彼の曲はいまのカオスな世の中でいまだにメッセージを強く持っていると思うので、聴いてもらいたいです。少し難解ではあるので最初は難しいかもしれないですが、なんとも言えない暗いロシアの雰囲気は感じ取っていただけると思います。 オーケストラのコンサート伴奏の立場としては、リヒャルト・シュトラウスが作曲した“英雄の生涯”という曲がおすすめです。長大で難しいヴァイオリンのソロが出てくるのですが、あくまでもコンサートマスターだけが弾くソロパートで、一般のヴァイオリニストでは弾くことはできないというところがとても貴重な曲です。 崔:ショスタコーヴィチでいうと“交響曲第5番”はとても有名です。「革命」というサブタイトルが勝手につけられちゃった曲なんですが、いろんな皮肉が入っていたり、カルメンの一部が出てきたりします。ちょっとひねられた部分がわかってくると、さらに面白くなりますね。