花園連続出場の秘訣はレスリング 山梨学院、1対1強化し初勝利へ
第104回全国高校ラグビー大会が東大阪市花園ラグビー場で27日、開幕する。2年連続2回目の出場となる山梨学院は、トレーニングに取り入れたレスリング仕込みのタックルを駆使し、1対1で競り勝つラグビーで、花園での1勝を目指す。 大会開幕まで2週間を切った12月中旬、甲府市内の練習場で選手たちがウオーミングアップを始めた。2人1組になって、寝転がった相手を正面から押さえ込んだり、両手足を地面についた姿勢から相手をあおむけに倒したり――。力任せではなく、体の使い方を確かめるように、ゆっくりと繰り返した。 古屋勇紀監督は「レスリングの低い姿勢を体に刷り込み、無意識にできるところまで持っていきたい」と意図を語った。 山梨学院のラグビー部は1983年に創部されたが、部員減少に伴って2006年にいったん休部。21年4月に活動を再開した。再開から1年たった22年4月、部員が約50人に増えて指導陣は練習方法を模索した。最も基盤になる1対1で競り勝てるチームを作ろうと、トップチームなども取り入れるレスリングに注目。ノウハウを持つ指導者を定期的に招き、徐々に練習方法を確立してきた。 大会前はけがを避けるためにメニューから外すという、強じんな体を作る1時間の「コンタクトフィットネス」では、上半身のみを使うグレコローマンスタイルの1対1を採用。走り込んだ後に相手を入れ替えながら対戦を繰り返し、体を限界まで追い込む。 レスリングでの対戦成績で部内随一の勝率を誇る副主将のフランカー渡辺楓太選手(3年)は「タックルで相手を倒しきれるようになった。接点で勢いづけるプレーを見せたい」。 レスリングを取り入れたトレーニングでは、タックルで倒される側も密集から抜け出す際の体の使い方を習得できるメリットがあるという。ラグビーで次のプレーにすぐ参加したり、不要な反則を減らしたりすることにもつながり、主将の渡辺侑選手(同)は「グラウンドに寝ている選手を一人でも減らすのに役立っている」と効果を実感する。 古屋監督は「ラグビーはチームスポーツだが、1対1の局面は幾度となく訪れる。追い込まれてもぶつかっていくメンタルトレーニングにもなっている」。 花園初出場を果たした昨冬は1回戦で全国大会常連の長崎南山に2点差で惜敗した。高校ラグビーの聖地での悲願の1勝を懸けた今大会の初戦の相手は、雪深い東北で近年力を伸ばし、6大会連続出場となる青森山田だ。【野田樹】