習近平3期目:党中央弁公庁主任人事と軍工派躍進が示す「仲介外交」「科学技術の自立自強」への焦燥
(c) vegefox.com / stock.adobe.com
中国の習近平国家主席は3月20日~22日、ロシアを公式訪問した。「和平の旅」と位置付けた習近平は、ウラジーミル・プーチン大統領と並んだ共同記者発表で、「積極勧和促談」(積極的に和平を勧め、対話を促す)と呼び掛けた。先に、7年間にわたり断交状態にあった中東の大国、サウジアラビアとイランの外交関係正常化を仲介した習近平が狙うのは、プーチンが提案を聞こうが聞くまいが、「中立の仲介者」を演じ切ることだ。米、中露のどちらとも距離を置く「グローバルサウス」(南半球を中心とする新興国・途上国)を取り込み、国際社会を「米欧日など民主主義陣営VS中国を盟主とするグローバルサウス」という構図に塗り替えることだ。 習政権が3期目に入り、「仲介外交」を加速している背景には、米国主導の対中半導体輸出規制への危機感がある。特に半導体は軍事技術の柱となる。将来的な台湾有事を見据え、ウクライナに軍事侵攻したロシアが西側米欧諸国から受けているような経済制裁が実行されても、それを跳ね返せるだけの最先端科学技術やエネルギー資源を獲得しなければならないという焦りが強い。
本文:5,408文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
城山英巳