【今村翔吾×松井優征・対談】直木賞作家も共感した漫画家の創作論 面白さよりも優先していることとは?
大河ドラマの原作 バトンタッチ計画、発動
今村 実は、南北朝時代が舞台の小説をついこの間、書き上げたばっかりなんです。「人よ、花よ、」というタイトルで、楠木正成(くすのきまさしげ)の長男・正行(まさつら)が主人公です。『逃げ若』の時行たちを南北朝時代の第一世代とするならば、第二世代の話なんですよ。 松井 第二世代も面白いですよね。 今村 僕、いつか大河ドラマの原作をやりたいんですよ。大河で南北朝はまだ一回しかやってないから、チャンスがあるんじゃないかなという思いもあって、乾坤一擲(けんこんいつてき)で自信作を書いたんです。『逃げ若』がヒットしたおかげで、そろそろ南北朝の機運が高まったような気がしていて……。 松井 『逃げ若』が原作かもしれませんよ? 今村 そっか、そっちがあるかぁ。 松井 まずないんですけど、天才子役が出てきたら『逃げ若』にワンチャンあると思っています。 今村 今ね、めっちゃいい方法を思い付きました。南北朝時代の大河を、二部構成でやるんですよ。第一部が第一世代の『逃げ若』で、第二部が第二世代の『人よ、花よ、』、という原作バトンタッチ方式。 松井 最高ですね! ※「週刊少年ジャンプ 2024年31号」(7月1日発売)では、「青春と読書」に未収録の対談エピソードをお読みいただけます。 ●漫画『逃げ上手の若君』に関する詳細は、「週刊少年ジャンプ」公式サイトをご覧ください。 今村翔吾 いまむら・しょうご●作家。 1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、同作で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。著書に『童の神』(「童神」で角川春樹小説賞)『八本目の槍』(吉川英治文学新人賞)『じんかん』(山田風太郎賞)「羽州ぼろ鳶組」シリーズ(吉川英治文庫賞)『塞王の楯』(直木賞)等多数。 松井優征 まつい・ゆうせい●漫画家。 1979年埼玉県生まれ。『魔人探偵脳噛ネウロ』でデビュー。同作品は2004年「第12回ジャンプ十二傑新人漫画賞」準入選ののち、05年~09年に「週刊少年ジャンプ」で連載。その他の連載作品に『暗殺教室』『逃げ上手の若君』(小学館漫画賞)等、読切作品に「離婚調停」「東京デパート戦争体験記」等。 [文]吉田大助(ライター) 1977年、埼玉県生まれ。「小説新潮」「野性時代」「STORY BOX」「ダ・ヴィンチ」「CREA」「週刊SPA!」など、雑誌メディアを中心に、書評や作家インタビュー、対談構成等を行う。森見氏の新刊インタビューを担当したことも多数。構成を務めた本に、指原莉乃『逆転力』などがある。 構成=吉田大助/撮影=露木聡子 協力:集英社 青春と読書 Book Bang編集部 新潮社
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