【会見全文書き起こし・後編】翁長知事「基地は沖縄経済の最大の阻害要因」
記者:香港フェニックステレビのリーと申します。知事が先月中国を訪問され、中国の総理とお会いされたと聞いています。そのときの感想をまずお聞かせください。それから今、日中の間で尖閣諸島をめぐる摩擦がまだ続いてる状況なんですが、この尖閣諸島のことを含めて、知事が今の日中関係の現状をどのように見ていらっしゃるか。沖縄としては中国と今後、どういうふうに付き合っていきたいのかを教えてください。 翁長:この李克強総理とお会いをしたのは、今、私は基地問題ばかりでこういう形で表に表れてますけれども、沖縄はアジア経済戦略構想ということで、アジアの成長著しいダイナミズムを取り入れて、物流拠点、あるいは情報通信産業、あるいは国際観光リゾート、こういったものをいかにしてアジアの中心地にするかということで、今、一生懸命動いております。ですから、その一環として北京にも行きましたし、帰ってきて2、3日置きましたら、台北にも、台湾にも行ってまいりました。そのときに、北京に行った理由は、アジア経済戦略構想という中で行ってまいりまして、河野洋平さんが戦後四十数年にわたって日中友好の、この貿易の交渉のために連続して行っていたものを評価していただいて、いわゆる、私も河野さんとは長い付き合いですので、ご一緒させてくれませんかということで、アジア経済戦略構想の中で行ってまいりました。 そしたら、李克強さんがお会いになるというのは、その前日にしか分からなかったんですね。向こうは最後まで分かりませんので、前日に分かりました。そうしましたら、河野さんが沖縄のこれからの観光問題、あるいはまた貿易問題、あなたが、時間を私が割いてあげるので、しゃべったらいいですよという話をしましたので、この李克強さんに福州との歴史的な縁を申し上げて、直行便を定期便を飛ばしてもらいたいということをしましたら、その3週間後に許可が下りました。そして福州に、自由貿易地域ができたということで、アジアにも特区があるから、それをぜひ、これからさせていただきたいということを言いましたら、ぜひ頑張ってくださいということで、それぐらいの言葉でありましたけれども理解を示してくれたのかなというふうに思っております。ですから、難しい問題は河野さんが話をしましたので、私は沖縄と特に福建省、福州市とのものの中で、アジア経済戦略構想の一環として話をさせてもらいました。 それから、尖閣ですね。先ほど、沖縄は平和の緩衝地帯になりたいという話をさせていただきました。よく、先ほど基地と経済の話もありましたけれども、13年前のニューヨークのテロですね。ビルに飛行機が突っ込んでいったやつですね。あれは私たちからしても遠い国の出来事で、なんでもないと思ったんですが、すぐ1週間目、2週間目から沖縄の観光が3割、4割と落ちていったんです。いわゆる、米軍基地があるから、修学旅行が止まったりして、あれから抜け出すのに、2、3年かかりました。「だいじょうぶさぁ~沖縄」キャンペーンっていって、日本国中回って、観光客をもう1回、引き戻したんですね。で、今の尖閣の問題は、私も日本国の固有の領土だと思っておりますけれども、しかしながら、これを尖閣で万が一、今のような状況の中で小競り合いが起きましたら、私は、石垣観光が今一番順調で、100万人の観光客が来てますけれども、そこでちょっとしたいざこざがあったら、おそらくは風評被害でさえ4割落ちるわけですから、100万の人が10万人に減ると思ってます。ですから、あの尖閣でいざこざは起こしてもらいたくない。ですから何はともあれ平和で我慢して、平和ということの中で尖閣というものを考えていただかないと、これを勇み足でやってしまった場合には、私は取り返しの付かないところまでいくのではないかという意味で、尖閣につきましては、ぜひとも平和裏と、何が起きても平和裏というようなものを考えて解決をしていただきたいというのがこの沖縄の立場としてはございます。 <了>