「エビを赤く塗る人」がビジネスで成功できない納得のワケ
現代は情報があふれかえる時代です。SNSやニュース、ウェブサイトなどを通じて、私たちは日々膨大な情報に触れていますが、その中には正確で役立つ情報もあれば、曖昧で信頼性に欠ける情報も少なくありません。情報の氾濫するこの時代において、私たちはどのようにして「価値のある情報」を見極めることができるのでしょうか。本記事では、戦略コンサルタントでデータサイエンティストでもある山本大平氏の新刊『消耗せずに成果が出る「情報の捨て方」』(三笠書房)より、情報を適切に取捨選択するための洞察について解説します。 【この記事の画像を見る】 ● 「エビを赤く塗る子ども」になっていないか 「友人がこう言っていた」 「メディアでこう報道されていた」 「ネット記事でこう読んだ」 私たちが日々接する情報の多くは「また聞き」、つまり「誰かがこう言っていた」「誰かがこれをした」という伝聞情報です。 そもそもメディアとは情報源と人々を媒介するもの、だから「媒体」と呼ばれているわけです。新聞やニュースの時事ネタから週刊誌のゴシップネタまで、私たちがメディアを通じて得る情報のすべては伝聞情報です。 ここで私が伝えたいのは「現地現物」の重要性。
現地現物を怠ると、言ってみれば「海にいるエビ」の絵を描くときに、エビを赤く塗る子どものようになる可能性が高いのです。生きているエビは黒っぽい色をしていますが、火を通すと赤くなります。「海にいるエビ」の絵を赤く塗る子どもは、「調理済みのエビ」しか知らないということです。 正確に描くには、実際に海に行って生きているエビを見るのが一番です。それが難しいのなら、鮮魚店や水族館で調理前のエビを見るのもいいでしょう。私が考える”現地現物”とは、「自分の目で見て確認し自らで感じる」ということです。 みなさんは、日頃、情報に接するときに、はたして、そんな現地現物の意識を持っているでしょうか。「調理済みのエビ」しか見たことがない状態で、「生きているエビ」を描く、そんなことになってはいないでしょうか。世の中には自分ではアクセスできない情報もありますが、「正確性においては、現地現物で得る情報に勝る情報はない」ということを理解していると、情報の扱い方にも大きな違いが出てきます。 取材をせずにネットで拾った情報だけでまとめた「コタツ記事」を「事実」と受け取るような愚に陥らずに済むようになる。そんなものをネットで読むよりも、はるかに有効な情報収集ができるようになるはずです。 ● 「出かけないとわからない」ことが真実 たとえば、とある著名者やプロアスリートのインタビュー記事を読んだとしましょう。その内容が「真の情報」とは限りません。本人がうまく言語化しきれていない場合もあるでしょうし、インタビュアーがまとめる段階で、微妙にニュアンスが変わっている可能性もあります。いわゆる編集マジックです。では、どうしたら真の情報にたどり着けるかと言ったら、一番いいのは、その本人に会って、直に話を聞くことです。 私は、初めてご依頼いただいたクライアントの社長や役員の方にお会いする際、その方々のインタビュー記事に事前に目を通すようにしていますが、記事から受ける印象と実際にお会いしたときの印象は、たいてい違います。記事では「仕事に厳しそう」、もっと正直に言えば「怖そう」な方でも、実際にお会いしてみると、たしかに仕事には厳しいのでしょうが、コミュニケーションにおいては非常に柔和で配慮がゆき届いている、そういうケースが非常に多いのです。 私は最初に入社したトヨタでこの現地現物を叩き込まれました。