<劇場版モノノ怪 唐傘>花澤香菜×中村健治監督対談 初めて語る役作り、アフレコの裏側 “大奥”に込めた思いとは?
中村監督 黒沢さんが芋けんぴをポリポリと食べる姿は小動物みたいでした(笑い)。
花澤さん ものすごく可愛いですよね! しかも物理的距離が近くて、会った瞬間に後ろから抱き締めてくるんです。最初はそれに慣れなくてビックリしましたが、今では抱き締められることも普通になって、私も「よしよし」モード(笑い)。ともよちゃんは天真らんまんなのでタイプ的にはカメのイメージ。アサを演じると聞いた時は意外性に驚きました。でも、ともよちゃんの内面を掘っていくと実はアサがいます。ともよちゃんは真面目だし、すごくいろいろなことを考えているし、周りを見ている。でもそれを内に秘めて外には出さない。
中村監督 その分析、分かります。黒沢さんは我慢をする人だと思いました。
花澤さん 今回の作品で自分の本質的な内面を出せるアサを演じるともよちゃんの姿を、私はいわゆる近所のお姉さんのような気持ちでうれしく見守ってしまいました(笑い)。
中村監督 人気、実力が共にあるお二人がプライベートでも仲が良いというのは、ヤバい情報です(笑い)。まさかこの二人がつながっているのかという驚きがあります。役者同士で仲が良いという話は聞きますが、それだってたまにお茶に行く程度。出会いから長く、一緒に芋フェスに行くほどの仲であるとは……。サッカーで言うところの、すごいフォワードが二人もそろっている状況です。
花澤さん (笑い)。ともよちゃんとは仕事の話はほとんどしなくて、プライベートな会話だけで盛り上がれる。気の置けない感じが一緒にいて心地いいのかもしれません。
--最後に本作の見どころを教えてください。
中村監督 勧善懲悪の分かりやすい話ではなく、登場人物すべてに大なり小なりの罪があって、直線的ではない立体的かつ複雑な人間ドラマを目指しました。それはある種、果てしない物語であり、生きることのつらさや人間が持つ闇を描くことになります。人間の心に浸食してくる闇とは何だろうか?と深掘りしていくと、周囲との間に生まれる絶対的に埋められない矛盾が見えてくる。そんな闇や矛盾が広がっていく中で生まれたモノノ怪・唐傘を薬売りが斬っていく物語です。作品を通して観客の皆さんが自分の心と会話をしてもらえたらうれしいです。