<劇場版モノノ怪 唐傘>花澤香菜×中村健治監督対談 初めて語る役作り、アフレコの裏側 “大奥”に込めた思いとは?
2007年にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送された人気テレビアニメ「モノノ怪」の完全新作劇場版「劇場版モノノ怪 唐傘」。同作でキーパーソンとなる大奥の女中・北川を演じる声優の花澤香菜さん、中村健治監督の対談が実現した。北川は、物語の核となる重要な役どころだっただけに、花澤さんへの公開前のインタビューは一切なく、初めて役作りやアフレコの裏側を語った。 【写真特集】「劇場版モノノ怪」 ミステリアスな北川の正体とは? 美しいカットを一挙に
◇膨大なPDF資料に驚き 「いい意味で……普通ではない(笑い)」
--「モノノ怪」の約17年ぶりの復活にして初の劇場版です。テレビと劇場版の違いをどのように感じられましたか?
中村監督 映画はテレビアニメに比べて、やれることの深さが格段に違うと実感しました。話数のあるテレビアニメの場合は、ざっくりと全体を俯瞰(ふかん)して1話1話の中に入れるべきミッションをどのように見せていくのかを考えながら作ります。しかし映画の場合は1本で一つの作品になるわけですから、俯瞰ではなく接近して全体を見るわけです。俯瞰で見ていると気づかないところも気づくようになって、細部まで気になるようになる。また物語のスタートからラストまでを一気に見せるというのは、息継ぎせずに一息で泳ぐ行為にも似ています。その一息の中で複雑かつハイコンテクストなものにチャレンジできるのが映画だと思いました。
--花澤さんは中村監督から通常のアニメとは違う事前レクチャーに驚いたとか……?
花澤さん アフレコ前に中村監督から物語のテーマやキャラクターの詳細情報が書かれたPDFをいただきました。そこには台本を読んだだけでは分からない北川さんの背景やキャラクター性が補完されていて、演じる上での指針になりました。作品によっては台本とは別に説明書きのようなものをいただくことはありますが、ここまで情報が詳細に記された大ボリュームのPDFは初めてでした。いい意味で……普通ではない(笑い)。そもそも台本も89分の内容とは思えないくらい分厚くて、アフレコの時に片手で持ちながら演じるのが大変でした。