シロサイの体の色は実はクロサイとほとんど同じ、いったいどこが違う? シロサイの生態は
シロサイはアフリカの草原に1万8000頭ほどが生息、ツノ目当ての密猟が大きな脅威
シロサイ、クロサイのいずれも体色は似たような灰色をしている。この2種は体の色ではなく唇の形で区別する。クロサイは上向きの尖った唇をしているのに対し、シロサイは角ばった唇をしている。この形の違いは摂取するエサの違いからきている。クロサイは主に樹木や低木から唇で葉や果実を摘まむように食料を摂取する。シロサイは頭と角ばった唇を地面に這わせながら草を食む。 ギャラリー:残り2頭になったキタシロサイを救えるか 写真7点 シロサイはアフリカの草原に1万8000頭ほどが生息し、時には数十頭の群れを形成する。メスは2年半~5年おきに子を1頭ずつ出産する。子どもは約3歳になるまで独り立ちしない。サイには鋭い聴覚と嗅覚があり、地面に残されたにおいの跡によってお互いを探し当てることができる。 シロサイは日陰に横たわることでアフリカの灼熱の太陽から身を守る。サイは体がすっぽり入るほどの水溜りを見つけると泥の中で泥浴びをする。これは天然の防虫剤と日焼け止めの効果があるといわれている。 シロサイには2本のツノがあり、手前のツノの方がより突き出ている。ツノは毎年8センチずつ伸び、最長で1.5メートルにもなるとされている。メスは主に子どもを守るために、オスは敵と戦うためにツノを用いる。 突き出したツノはサイの特徴である反面、種の滅亡の原因ともなっている。ツノは中国、台湾、香港やシンガポールなどで伝統薬の成分として珍重されるため、多くのサイが犠牲になってきた。さらに北アフリカや中東では装飾用としても使われているのだ。 かつてシロサイは、サハラ以南のアフリカのどこにでも生息していたが、こうした商業目的の密猟のために脅威にさらされている。さまざまな団体がこの愛すべき動物の保護に力を入れている。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部