減反、飼料用米への転換政策、物価高…高齢化で担い手も減る農村地帯の票はどこへ 組織が支える農相と刷新求める立民前職一騎打ち 衆院鹿児島3区
立憲民主党・野間健氏(66)と自民党・小里泰弘氏(66)の前職同士の一騎打ちが繰り広げられている衆院鹿児島3区で、農業票の争奪戦が熱を帯びている。小里氏陣営が組織力を駆使して農相就任をアピールする一方で、野間氏陣営は与党のこれまでの政策への批判を展開。保守地盤が厚い地域とはいえ、物価高などを背景に農業関係者は一枚岩とはいえない状況だ。 【写真】田園地帯に掲示された選挙ポスター=22日、薩摩川内市
公示後に3区を回ると、黄金色の稲穂や刈り取りを終えた田んぼが広がっていた。一方で、雑草が生えたままの耕作放棄地も目についた。県内農家は高齢化などを背景に減少が続いており、現在は物価高が経営に重くのしかかる。 「このままの政治を許せば農家の苦境は救えない」。野間氏は22日、阿久根市で集会を開いて訴えた。2023年度の日本の食料自給率がカロリーベースで38%にとどまる現状や党が公約に掲げる戸別所得補償制度に触れ、「農家が農業で生活できるようにする」と農業政策の刷新を訴えた。 野間氏を支持する70代のコメ生産者は、これまでの減反や飼料用米への転換政策を批判。「現状はコメだけ作っても生活は厳しい。現在の品薄も含め、自民の政策には期待できないと話す農家は多い」とこぼす。 19日、薩摩川内市のJR川内駅近くでは、石破茂首相が演説。「小里大臣を中心に、新しい農業を作っていきたい」と意気込みを語った。20日夜、小里氏は農相の公務先から出水市の集会に直行し「食料安全保障を確立し、国民の食卓を守るのが私の使命」と強調した。
報道では劣勢も伝えられる中、県農民政治連盟は組織票固めを図る。あるJA幹部は「予算獲得で頼りになるのは与党。農相として頑張ってもらうことが鹿児島の農業の活性化には欠かせない」と話した。 農林業センサスによると、県内の基幹的農業従事者は20年2月1日時点で、5年前から1万4900人減の3万7580人。うち3区は約1万人だ。 23日には立民・野田佳彦代表、24日には元農相の自民・森山裕幹事長が3区入りする。農業票を巡る両陣営の攻防は最終盤まで続く。
南日本新聞 | 鹿児島