激戦州ペンシルベニアで目撃した新たな“分断”民主党のブルーがパープルに、そして共和党のレッドになった日
米大統領選で共和党ドナルド・トランプ前大統領が当選確実となった。予想に反しハリス氏を大きく引き離す強さを見せたことが、驚きを与えている。 トランプ前大統領を悩ます“爆乳女優”…恥部を「毒キノコ」と暴露され世界が爆笑(2023年) その背景には、これまで伝統的に民主党支持と考えられていた地域が、共和党支持に急変した、つまり民主党のブルーから共和党レッドになったという現実がある。 今回取材した激戦州ペンシルベニア州は、かつてはブルーウォールと呼ばれる民主党の大票田のひとつだった。中でも東部のバックス郡は、2020年にはバイデン大統領を選出している。ところがここ数年それが急変しているという地方紙の記事を目にし、投票日当日に訪れることにした。 バックス郡レビットタウンの投票所であるミル・クリーク小学校は、川や林に囲まれた広大な敷地に立っている。周囲の芝生にはトランプ、ハリス両候補の立て看板がずらりと並ぶが、心なしかトランプの方が多いように見えた。
ここ数年で共和党のトランプ支持が増えた
投票を終えた人に話を聞く。この小学校の教頭でトランプに投票したという男性は、「この地はかつて圧倒的に民主党のブルーだったが、ここ数年共和党のトランプ支持が増え、レッドが混じったパープルになった。家族や友人の中でもトランプとハリス支持が入り交じっており、喧嘩をしたくないので政治の話はタブーだ」と語った。 またハリスに投票したという元大学教授の男性は、「ここは、高卒以下の白人労働者階級の町だ。かつては民主党支持だったが、今や彼らが惹きつけられているのは共和党のトランプだ。彼は労働者を理解し、退役軍人や警察官を大切にする愛国者と思われているからだ」。 白人労働者階級は、民主党は高学歴のエリート党になったと感じているだけでなく、反感すら持っているという。 今回バックス郡はわずかの差でトランプを大統領に選んだ。同じ理由でこれまでブルーだったアメリカの郊外や農村部の多くが、パープル、さらにはレッドに変わり、トランプの予想以上の強さにつながったと考えられている。 24年の大統領選は、ハリスを支持する都市部の高学歴者と、トランプに投票した地方の低学歴労働者という新たな分断を、はっきりと見せつけた選挙でもあった。 (シェリーめぐみ/NY在住ジャーナリスト) ◇ ◇ ◇ トランプ前大統領の132年ぶりの返り咲き当選で、高市早苗前経済安保相が注目を集めている。一体、なぜ? ●関連記事【もっと読む】『トランプ復権に“高市一派”が大ハシャギ…クセ強大統領と渡り合えるのは「早苗総理」だけ?』で詳しく報じている。