『入るまで帰れません!』 勝俣陵が実践した“苦悩”の5試合連続予選落ちを吹き飛ばす猛練習
<パナソニックオープン 初日◇19日◇有馬ロイヤルゴルフクラブ(兵庫県)◇7100ヤード・パー72> 石川遼、ピンマイクをせっせと装着【写真】 「しんどかったですね…」。苦しい表情で開口一番に切り出したのは、7月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」から5試合連続で予選落ちを喫していた勝俣陵。この日は7アンダーの「65」をマークし、久しぶりの上位発進となった。 「本当に日本オープンも賞金ランキングでいけるような位置だったし、シードも余裕で、優勝しなくてもJT(最終戦)を目指せるのかなっていうような位置だったんですけど」と、開幕戦8位タイで今季をスタートし、前半戦では賞金ランキングも好位置にいた。しかし、現在は51位と順位を落とし、8月26日時点の賞金ランキング上位30名に入れず、10月の国内メジャー「日本オープン」への出場権は獲得できず。さらに、9月2日から2日間の日程で行われた最終予選会も通過することができなかった。 原因は「自分の欠点」と分析するパッティングだった。「苦手なパターがどうしても入らなかったので、すごい苦しかったですね、この5試合は」。これまではボールに描かれたラインを打ち出したい方向に合わせて置いていたが、「ちょっといつもと一緒じゃダメなので」とラインを合わせずに置くようにした。「ロジカルにやりすぎてしまって、自分の感覚をたぶん全て殺してしまっていたので、イメージだけをしっかり持ってやるようにしたら今日はよかったです」とフィーリングを優先したことで好スコアにつながった。 「今週もすごいパッティングで違和感を感じていた」と大会開催前の月曜日は2時間半ほど練習グリーンに陣取った。「ラインがどれだけ曲がるかというのを頭のなかにイメージするのと、カップの4方向にティを刺して、その外側にもさらに刺して、8球連続で終わらないと帰れないというのをやっていた」とひたすら同じ位置から練習。「全然終わらなくて(笑)」と練習グリーンのクローズ時間に間に合わず達成はできず。しかし、前日にやり切り、初日に挑んだ。 予選落ちとなった5試合では、18ホールで36パットが1回、35パットが2回など30パットを超えたのが8回あった。24、29もあったが、納得のいく内容ではなかった。この日は納得のいく形で27パット。ボールの置き方の変更と、猛練習の成果が発揮された。「そういう練習をいままでやってきてなかったので、単に下手なだけで練習不足だったのかなと思った」。“練習はウソをつかない”という言葉は本当だった。 自分のゴルフに自信もなくしていた。今回のプレーは「だいぶ、本当に自信にはなりましたね」と笑顔を見せる。悩みの種がひとつ解消されつつあり、復調の兆しが見始めた。 今回の試みは「100パーセント自分に合っているかわからないので、明日もやってみてどうなるか」と2日目も同じプラン。「今週はちょっとそれがわかればいいな」と、今季ツアー優勝者、賞金ランク上位20名が出られる最終戦の出場資格を得るためにも、次週以降の残り5試合につながる一週間にしていきたい。(文・高木彩音)