阪神株主総会で「阪急との人事交流でフロントを改革せよ」と株主が意見
「阪神タイガースと宝塚歌劇団のためにエンターテインメントコミュニケーション事業というセグメントを作りました。芸能の世界とスポーツの世界は違いますが、このプロ集団をマネジメントをする人間は、例えば、鉄道でずっとやってきた人間が、タイガースへいってマネジメントできるか? というとかなり厳しいものがあります。結果的に現場が混乱したり、戸惑ったりするでしょう。若いうちから、そのへんの人事交流をしておかないとだめかなと思います。 また来春から総合職の採用について、今までは阪神、阪急で別々の採用でしたが、ホールディングで一括採用することになります。ホールディングからそれぞれの部署にいき仕事をしてもらう体制になります。これをきっかけに、(阪神、阪急の)人事交流を少し進めていきたい。タイガースにつきましても、違った目で見ることも、ある意味いいかも。そのへんは慎重に(坂井)オーナーと相談させてもらいながらですね」 違った目とは、阪急グループ側の目のこと。 すでに昨年から角会長が実務のバトンを渡した杉山建博・阪急電鉄社長が阪神電鉄の取締役に就任、逆に阪神側からは、秦雅夫・電鉄社長が阪急電鉄の取締役になるなど役員トップクラスの人事交流がスタートしている。角会長は、子会社であるタイガースの取締役クラスの電撃的な人事交流については否定したが、若い世代の人事交流については、前向きな姿勢を初めて明らかにしたのである。 ただ「(球団経営の)トップは一人でないとうまくいきません。(坂井信也)オーナーに対して(私が)横から中途半端な知識でモノを言うことは、会長になってもすべきではないと思う」と、直接介入については否定した。元々、阪急が経営していた宝塚歌劇団についても、「トップは1本でないと組織はうまくいかない」と、命令系統の混乱を避けるため、角会長はあえて理事にならなかったという。 だが、その一方で角会長は相反するように、こうも言った。 「これからもう少しタイガースのことを勉強しなければいけないかなと思いますが、残念ながら、今は知識不足です」 かなり踏み込んだ発言だった。 タイガースのフロントに“阪急の血”が入りこめばフロントの大改革になることは間違いない。 しかし阪神と阪急には複雑な歴史的経緯があることを忘れてはならない。