親の「資産内容」はどう尋ねればいいのか…経験者に聞いた【親を要介護にさせたくない】
【親を要介護にさせたくない】#23 たとえ親子でもお金の話は切り出しにくい。とはいえ、何も知らないままで親が介護状態になってしまうと、その後の手続きや支払いなどで子供は大変な苦労をする。できるだけ早めに、気持ちよく教えてもらえるようにしたい──と書くのは簡単だが、子供としてはどうやってその話を切り出すかに頭を悩ませる。 高島忠夫さんの家族が知らずに悔やんだ介護サービス 理想的なのは親自らが話してくれることだが、全ての資産をしっかり整理・提示してくれるケースはごくまれだろう。 高齢の親を持つ周囲の人にアンケートを取っても「お金は〇〇銀行と△△銀行。保険は□□生命」というザックリした話になるようで、子供もつい「まだそんな話はいいよ。詳しいことはまた聞くよ」と答えてしまう。お互いを気遣ってのやりとりとはいえ、せっかくのキッカケなのでそこから詳しい話を進めていくようにしたい。 たとえば、東京・江東区在住の男性は帰省のタイミングでその話があり、その場で「じゃあ、銀行にはいくらくらいあるの。毎月の生活費とかはどうなっている?」と尋ねたところ具体的な数字を知ることができた。「もし、あの場で尋ねなかったら完全にタイミングを失っていたと思う」と振り返る。 子供から親に聞く場合はどうだろう。さいたま市在住の女性は、「前々から聞かなければと思っていた」ことと「他に相続人がいるのに、自分だけ聞くことはトラブルのもとになる」との考えから姉と事前に打ち合わせ、全員が揃ったタイミングで問いかけた。ただし、デリケートな話なので配偶者の同席は遠慮してもらった。親もその方が話しやすかろうとの配慮からだ。 聞き方、話の流れも重要だ。川崎市在住の男性の場合、自分と同世代の友人が親の資産を把握していなかったことで苦労した例をいくつか出し「ウチもそろそろ医療保険や銀行口座のことは教えておいてくれないか」と口にした。親は困惑気味だったようだが「何かあれば俺たち(兄弟)がそれですぐに対処できるから」とのひと言を添えたことで納得してくれたという。つまり、親のことをちゃんと思っているんだよとの気持ちが伝わるやり方が大切だと思われる。 あるいは親に直接「介護が必要な状態になったらどうしたい」と聞いてみるのもひとつの手だ。そこで希望を伝えてくれれば「それなら月に〇〇円くらいかかるだろうね」とお金の話に結び付け「今の貯金で足りそう?」と誘導する手もある。もちろん、それを話せるだけの知識が必要なので、高齢の親を持つ方々は介護についてできる限り調べておくことをお勧めしたい。 (西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)