提出を忘れると2000万円の退職金が408万円減る…荻原博子が伝授「年末調整では取り戻せない税金の種類」
■株や不動産で損した人も確定申告して損益を相殺 ・「ふるさと納税」で寄付をした人 「ふるさと納税」では、5つの自治体までは一定条件を満たせば、確定申告をしなくても「ふるさと納税」の「寄附金控除」が受けられる「ワンストップ特例制度」があります。 ただ、「ワンストップ特例制度」を利用しない人や、1年間の寄付先が6自治体以上の場合は、確定申告をしないと「寄付金控除」されません。 「確定申告」をすると所得税はその年から、住民税は翌年からそれぞれ控除されます。 ・株や不動産で損をした人 株や不動産の投資で損をした人は、「損益通算」といって、損失と利益を相殺することができます。 たとえば、A株の取引で大損をしても、B株で得をしていたら、得した額から損した額に課税されます。 仮に、A株で大損して、B株で得したぶんを差し引いても、まだマイナスだったら、この損を3年間は「繰越控除」できます。つまり、3年間は利益や配当から差し引くことができるのです。 不動産投資やFXなども、損をしたら一定のルールのもとで「損益通算」や「繰越控除」が可能です。「不動産投資」では、個人は青色申告ができませんが、開業届を税務署に提出して青色申告の手続きを行うことで赤字の繰越ができます。 ただし、「NISA」や「新NISA」では、「損益通算」や「繰越控除」は使えません。 ・退職金をもらった人 「退職金」を一時金でもらった場合、「退職所得申告書」を提出していないと、退職金の20.42%が自動的に源泉徴収されます。 たとえば2000万円の退職金があり、「退職所得申告書」を提出していないと408万4000円の税金を払うことになります。これが「退職所得申告書」を提出していて勤続年数40年なら、2200万円の退職所得控除があるので、まるまる手取りになります。 この場合、「退職所得申告書」を出していなかった人は、「確定申告」すれば、源泉徴収された408万4000円を取り戻すことができますので、覚えておきましょう。 ・年の途中で会社を辞めた、転職した人 給与から天引きされる所得税は、前の年の1年間の収入が基準となって徴収されます。けれど、年の途中で会社を辞めてしまったら、前の年よりも収入が少なくなっている可能性が高く、想定した税額も過払いになっているケースがあります。 ですから、1年間のトータルで、前年よりも収入が少ない人は、「確定申告」をすれば、払い過ぎの税金を戻してもらえるかもしれません。 転職した場合には、転職後の勤務先で「年末調整」をしてもらえますが、転職前の源泉徴収票を提出していないと正しい計算ができないので、忘れず提出しましょう。 ・「年末調整」後に結婚した人 現在ではあまりいないケースではありますが、「年末調整」後に結婚した人で、しかも妻が会社をやめて“専業主婦になった”場合、「確定申告」すれば夫が「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を使え、払い過ぎの税金を取り戻すことができるかもしれません。 「年末調整」後に出産した場合は、以前は扶養家族が増えたということで「確定申告」すれば「扶養控除」が増えて税金が戻ってきましたが、現在は16歳未満の子どもは「扶養控除」の対象にはなっていません。ただ、扶養する人数には加算されるために、申告すると合計所得の金額によっては、居住する自治体の住民税の非課税規定で適用されるケースもあります。 これとは別に、出産にかかった費用については「医療費控除」の対象になっているので、かかった費用から給付金などを引いてもマイナスがある人は、「確定申告」でマイナス分を取り戻せる可能性があります。