マーシャル諸島の米実験場に高波 地球温暖化、全島浸水の予測も
米軍が核実験を繰り返した太平洋の島国マーシャル諸島で、核搭載可能な弾道ミサイルや迎撃システムの開発の中核となってきたクエゼリン環礁の米軍実験場が水害の危機に直面している。1月には同環礁ロイ・ナムル島の軍施設を高波が襲い、甚大な被害が出た。将来の地球温暖化による海面上昇で地下水源の喪失や全島浸水に見舞われると予測されている。 米軍は同環礁で最大の南端のクエゼリン本島や2番目に大きい北端のロイ・ナムル島などから住民を締め出して租借。環礁海域を利用し、米本土との間で長距離弾道ミサイルを発射し、迎撃する実験を繰り返してきた。 米軍によると、ロイ・ナムル島は1月20日の高波で軍施設や兵員宿舎を含む広範囲の浸水が起き、飛行場も閉鎖に追い込まれた。米軍は同島にいた要員120人のうち80人を本島に避難させた。復旧には「数カ月かかる可能性がある」という。 米地質調査所の論文では、悪いシナリオによればロイ・ナムル島で、今世紀中に高波で毎年、島全体が浸水すると予測した。(クエゼリン環礁・共同)