テスラのロボタクシー、トランプ次期政権下で優遇か 技術や法整備には依然課題も
米電気自動車(EV)大手テスラの販売数が伸び悩む中、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はロボタクシー構想への期待をますます高めている。マスク氏は選挙中にはトランプ氏の支持団体に多額の寄付を行っており、今後、ロボタクシーの法的課題を突破するにあたって運輸長官の選出などにも大きな影響力を持つ可能性がある。 EV大手テスラのマスクCEOは10月、完全自律走行車のロボタクシーを発表。「自動運転の未来がここにある」と大々的に宣伝した。 「監視を受けない完全自動運転へと移行する予定だ。車で眠りにつき、目覚めたら目的地に到着していることもできる」 テスラのEV販売は今年、伸び悩んでおり、マスク氏はロボタクシー構想への期待をますます高めている。 技術上だけでなく、規制に関するハードルも。 米国では、無人運転に関する規制の多くは各州ごとに異なる。マスク氏は10月の決算発表で、統一されていない規制を厳しく非難。米大統領選でトランプ氏が勝利した場合、承認機関を一本化すると述べていた。 マスク氏は投資家に向け「政府効率化部門があれば、実現に協力する」と語っていた。トランプ氏は今週、マスク氏らが政府効率化を担う新たな組織を率いると表明。同組織がどのような機能を果たすかは、依然として明らかになっていない。 ロイターはテスラとマスク氏に対してコメントを求めたが、返答は得られなかった。 マスク氏は選挙期間中、トランプ氏の支持団体に少なくとも1億1900万ドル(約186億円)を寄付。次期政権にも大きな影響力を持つ可能性が高い。 政権移行に詳しい専門家はロイターに対し、マスク氏が次期政権における運輸長官の選出にも影響を与えうると指摘した。 運輸省は、自動車メーカーの規制を担う米道路交通安全局(NHTSA)を管轄。自律走行車を巡る規制にも大きな変化をもたらす可能性がある。ただ、テスラは依然、技術的・法的な課題に直面するだろう。 同社の米国最大の市場で、自律走行車の主要な試験場でもあるカリフォルニア州でテスラはライバルに何年も遅れをとっている。 同州の記録によると、2016年以降にテスラが行った試験走行はわずか900キロ。19年以降は、自律走行車に関する報告を同州に提出していない。 アルファベット傘下のウェイモは、2014ー23年に約2090万キロ以上を試験走行。既に7つの規制当局から承認を得ている。ウェイモは、テスラの規制戦略や自律走行車についてコメントを差し控えた。 イーロン・マスク氏 「自律走行にかかるコストは、非常に低くなると思う」 マスク氏はテスラの完全自動運転車が来年には完成するとしているが、こうした発言は約10年前から繰り返されている。規制の少ないテキサス州などで、いかに早く完全自動運転車を登場させるか、テスラが法的責任をどう乗り越えるかが、重要な鍵になる。