考察『光る君へ』15話 ききょう(ファーストサマーウイカ)と中宮定子(高畑充希)初対面!清少納言爆誕、呼び名の謎解明
道長と伊周の競べ弓!
中宮まわりの私的な費用負担を税金で賄うことについての、道長から道隆への苦言に対して、 道隆「こまかいことを申すな」「そういうことを申さぬと思うたから、お前を中宮大夫にしたのだ」 道隆にとっては国庫の財も官位も、自分のために動かすものなのだ。 兼家(段田安則)は第13話で真の政とはと問われ「政は家の存続だ」「その考えを引き継げる者こそが、儂の後継であると思え」と言ったが、家の存続のためになす政とは、こういう意味なのか……? そして兼家は長男・道隆を穢れなき存在にと心を砕いていたが、道隆は彼自身の驕りのために公卿たちの人望を失っている。兼家の腐心、水の泡では……。 それにしても、一条帝といい中宮定子といい、私邸で気だるげに寛ぐ道隆といい、思わず感嘆の声が洩れるほどに雅やかで、なまめかしく美しい画面が次々と出てくる回だった。 そして道長と伊周(これちか /三浦翔平)の競べ弓! 歴史物語『大鏡』で有名なこのエピソードが、この流れで出てくるのか。本作の藤原道長の性格から考えて「我が家から帝、皇后が出る」「私は関白になる」など、言わなさそうだけどなあと思っていたのだ。 それが納得できるアレンジがなされていた。つまり、税金の私的流用を諫めに兄のもとを訪れたが相手にされない。その上、甥っ子の遊戯に付き合わされた。早々に切り上げたくて、わざと外し「では、伊周殿の勝ちということで」と帰ろうとしたら引き止められたので、ますます面倒になり、伊周の願い事をそのままコピー&ペーストする形で「我が家から帝が出る」「我、関白となる」と……。 道隆が焦って「もうやめよ」と競技をやめさせたのは『大鏡』のとおりである。 呪術が信じられているこの時代、願掛けをした上でのこの事態は、我々が考えている以上の大ダメージなのではないか。伊周、ドンマイ! くらいでは帳消しにできぬ気まずさであったろう。
左大臣・源雅信、逝く
あの渾身の呪術から年月が立ち、明子(瀧内公美)の表情がとても柔らかくなっている。道長との夫婦仲はよく、子も身籠っているようだ。第13話で「微笑むことすらなく生きてまいりましたゆえ」と言っていた彼女が、夫と笑みを交わす日を迎えているのか。よかったね。というか、兼家が亡くなったにせよ、あの恨みを溶かした道長すごいね。 そして土御門殿では、左大臣・源雅信(益岡徹)が逝く……癒し枠がひとり退場して悲しい。 「婿殿の出世もこれまでじゃな……」 政治の場での後ろ盾である自分が死んだら、娘婿・道長の出世が止まってしまうと述べ 「不承知と言い続ければよかった」「不承知……(3回も言った)」 愛娘を奪いおってコンニャロという文句を、最期まで述べて世を去った。可愛らしいおじさま貴族であった。お疲れ様でした。